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2008年09月30日

嵐の前の静けさ


中国は今週から国慶節休暇に入り、取敢えず平穏無事の感を呈している。
だが世界の株式市場は今、来週とかなり揺れ動くような感があり、
これらの振動に対し、各主要国政府はどれだけ持ちこたえられるであろうか、
というのが今後の大きなテーマになりそうだ。

世界の中央銀行による短期的な資金供給や米金融安定政策に絡む材料は
完全に市場に織り込まれた。条件つきで議会通過が図られた米金融安定策は
実際、どれだけ効果があるのであろうか。
足元では、日本では不動産会社の民事再生法手続きが絶えそうになく、
海外でも米金融機関(銀行、証券会社、S&L)の破綻から欧州でも
金融機関の国有化が話題となっている。

市場で資金供給がされ続けても、市場は一向に反応しない。
欧州での米ドル取引が低迷している事実は物事の真相を物語っているような気がする。
「政府」対「市場」との対話が正しく消化されていなく、
資本市場そのものがそろそろ、本当の意味で機能マヒする可能性がある。
パニック売りの始まりを何となく予感させるのは自分だけではないのかもしれない。

中国においても11%台から9%台への経済成長が鈍化すること、
すでに政府幹部発言から市場で織り込まれつつある。
問題はどれくらいの幅で企業業績が下方修正されるかであろう。
金融緩和の政策大転換が図られても、まだ『最初の一歩』であり、
今後の追加策が発表されてこないと、市場は安心感を織り込みに行かないであろう。
それより、先に発表されたブラジルの鉄鉱石への買い付けを一次停止することなど、
世界的な「物の動き」を中国自らが抑制する方向に動き始めた場合、
世界景気に大きな影響を与えるような気がする。

こういうときにこそ、「21世紀型の発展途上国」である中国は
リーダシップを発揮すべきではないだろうか。
大国主義を前面に押し出すのではなく、また世界需要の一端が担えるよう、
これまで蓄積してきた国家の外貨準備高などの有効活用がいろいろ検討されても
良さそうな印象を受ける。

アフリカ等への国際舞台での外交も国益向上のためには良いかもしれない。
現地の生活水準向上にものすごく貢献しているという評価は妥当だと思う。
ただ、それだけじゃないはずだ。クロスボーダー的な「WIN-WIN」枠組みの構築。
買い付けの一方向だけでなく、現地雇用の確保や需要喚起ができるような政策が
今後求められてこよう。   


                                 (大原 平)


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