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2009年01月19日

08年経済ダイジェスト~09年本格始動に向けて~


2008年、激しく揺れ動いたベトナム経済。
その動きを振り返りながら、
今後の展望を見極めたい。

どのニュースも異口同音に伝える、
ベトナム経済の激動振りだが、
大きく三つに分けられる。

(1)経済成長の鈍化

発展を続けるベトナム経済に対して、
政府は、2008年初頭から3月にかけて、
各種目標達成のさまざまな対策を打ち出した。

しかし、展開されたプロジェクトは、
重複したり、冗長と思えるものもある。

また、右肩上がりの経済成長を背景に、
専門家の意見を図ることなく、
早期に実施した投資プロジェクトが、
経済バランスを崩す引き金ともなった。

結果として、インフレ率は20%を超え、
株式市場下落を招き、
ベトナムの経済成長は足止めを喰らうこととなった。

(2)裏目に出たインフレ対策

3月以降、政府は、インフレ抑制に躍起となり、
対策として新しい金融制度を打ち出した。

しかし、インフレ抑制を主目的とした対策は、
企業経営への影響を十分考慮しておらず、
商業銀行や小規模企業を困難に陥れた。

その結果、建設会社を始めとする
いくつかの企業を倒産に追い込むこととなった。

(3)そして金融危機

各企業は、リストラや減産、投資抑制などで、
その場を凌ごうとするものの、
世界規模の金融危機の影響が大きく圧し掛かる。

輸出についても金額・数量ともに減少傾向で、
企業収益も伸び悩み、
株式市場も降下気味である。

そして、ベトナム経済は、問題を山積したまま、
2008年のフィナーレを迎えてしまった。

2009年の経済展望

ドラマであれば、「The End」となるが、
実社会では、ストーリーは翌年に持ち越される。

2009年は、
どのようなシナリオが考えられるのか?
各機関のレポートを簡単に整理する。

IMF(国際通貨基金)
2009年、ベトナムマクロ経済の成長率は5%に減少、
インフレ率は1桁台となる見込み。
政府が堅実路線対策を維持することで、
中長期的には、経済は順調に推移するだろう。

BMI(Business Monitor International・英)
GDP成長率は2009年→7%、2010年→8%と予想。
中長期的にも2013年から2017年にかけて平均8%と、
楽観的な予測。
ただし、この数値の実現には
インフレ、インフラ、教育といった、
基本的な課題を克服することが必要。

右肩上がりの発展を遂げてきたベトナム経済、
しかし、“本当の成長に向けた正念場”
これが2009年のテーマである。

テト(旧正月)明けから
2009年の経済・社会活動が本格化するが、
具体的には、どのような状況となるのか?
BCCの独自分析を含めて、
次回以降に引き続きお伝えする。


フオン


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