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2009年07月28日

“ECO”から見る“仕組み化”を~仕向けることでの日系企業の現地化~


今年も日本は「異常気象」。
ECOポイントや省エネがブーム?ではあるが、
集中豪雨。竜巻。明け切らぬ梅雨等報道に、持続可能な経済成長と、
地球環境保全との両立を意識せざるを得ない。


一方経済成長著しいベトナム。
かつての日本がどうであったように環境よりも開発、
成長最優先。当然、汚染も顕著。
先進国の援助もあり、環境への対策は大きく報道されているが
国家の取組みと日々目にする庶民のくらしには相当な差が感じられる。

首都ハノイ、取組み事例

・ハノイ人民委員会、環境汚染削減プロジェクト(US$72.2百万)を認可。
・ハノイ市は水質汚染軽減のため、省予算よりUS$56.5百万を割当て。
今月発表の大きなニュースである。
環境に対する具体的な取組みや実態についての報道は常にあり、
ベトナム国が熱心な関心を寄せていると共に、
問題を重要視していることがわかる。

「取組み」と「実際」の深い溝 

しかしながら、ごみ埋立地約70%の埋立量は全国基準10倍、
先日も購入した土地をごみ埋立地として利用、不法に商売をしていた
ベトナム人夫婦が警察の捜査を受けた。
対策の効果が現れるのに時間がかかるのはやむをえないのかもしれないが、
例えば、金儲けのために環境汚染を省みないベトナム人夫婦に、
”ベトナム人らしさ”を感じてしまう。

なぜ溝が?ベトナム人を見つめる

ここで、ベトナムの実際について、その一例をご紹介したい。

~現状~
 
 分別ゴミ
  日本:ペットボトルを三つ(キャップ、ラベル、ボトル)に分けて捨てる。
  ベトナム:ビンに生ゴミ、プラスチック。ゴミ捨てに分別なし。
 節電
  日本:「クールビズにご協力ください」
  ベトナム:家電=憧れ。エアコンの設定温度は20度以下。
 大気汚染
  日本人観光客の団体がハンカチで口を押さえハノイ観光。
  ベトナム、縦横無尽のバイクに工業地帯、喘息になった弊社駐在員。  

~エコ活動~

 エコバッグ 
  大手スーパーマーケット、レジ脇で見かけた”エコバッグ”。
  買い求める人も見ないし、使用している人はもっと見ない。
  大量に使用されるレジ袋を片目に、果たしてエコバッグの意味を
  知っている人はいるのかと疑問を抱く。
 アースデイ
  CO2削減を目指し、1時間の消灯を呼びかけるイベント。
  新聞や友人間で話題になるものの、イベントのためのイベントになっている。

~人々の意識~

 学校教育
  とある小学校。校門前にはどぶ川が滞りながら流れ、
  ありとあらゆるゴミが投げ捨てられている。
 町なか
  道路わきに点々とまとまっている落ち葉ともはや分別できないゴミ。
  自宅はまめに掃き掃除をするのに、公共の場は気にしない。  

まとめ 倫理と知識、そして国民性

知識・教育不足によるもの

(1)ゴミの分別や節電等、エコに対する知識がない。
(2)活動ごともイベント的で、意義が浸透していない。
(3)幼いころからの環境ゆえ、それを問題視する価値観がない。

“公共の福祉”意識の絶対的不足、道徳観の欠如

小学校では毎日掃除の時間があり、公共トイレには
「きれいに使いましょう」と張り紙がしてある、日本。
汚してはいけない、という道徳観が昔から知らずに養われているのに対し、
ベトナムではその倫理が欠如しているに加え、適切な知識がない。
加え、個人主義が強いという国民性、公共への意識は乏しい。


効果的な環境改善へむけた仕組み化を

道徳教育、知識形成の為の、3R活動(リデュース、リユース、リサイクル)。
法整備による不正罰則強化。
しかしながら、これだけでの環境対策では問題改善は不可能である。

汚染の元凶、一人ひとりの生活への規制や、
製造業や製品への規制(効率的な製品以外の販売禁止等)といった
汚染させない仕組みづくりにまで落とし込むことが不可欠である。
例えば
・レジ袋への課税と有料化
・車の排気ガスへの規制
・ポイ捨てによる罰則強化 ETC…

仕組みを仕向けることでの日系企業の現地化を

このような考え方、取り組みは、企業の現地化にも応用可能であり、
実行可能性が極めて高い。
道徳観や知識の形成には多くのコストと時間がかかり、民間企業の業務ではない。
ECOへの近道は、仕向け、仕組み化する、ことであるように、
日系企業現地化、成長持続可能日系企業を作り上げる事のヒントは
仕向け、仕組み化への落とし込みなのかもしれない。



(福田)

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