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2011年06月03日

証券会社の「収入源」って?


証券市場が暴落した影響を受け、証券会社が様々なリスクに直面している。
証券会社の売上構造を見ると組織の再構築は避けようがない。


証券会社の利益作り

多くの証券会社がほぼ同時期に設立されたため、現在の証券市場は非常に
狭くなっている。証券分野での競争が激しさを増してきている。証券会社が
多いと市場の発展を支えることになるが、競争が激化してくると市場の形が
変わってしまう。

証券会社の売上構造については、自己売買活動の売上が恒常的に高い比率を
占める。統計市場によると2008年から2010年まで、自己売買活動の売上が
全体の35%~42%を占めている。

2010年に統計を取った94社のうち88社は売上が5.164兆VNDを達成し、
売上全体の36.14%を占めている。1位はSBSで1.131兆VND、SSIが2位で
7,100億VND、そしてAGRが6,420億VNDで3位につけている。
特に自己売買活動が主な売上を占めている会社はA Au証券(82.61%)、
SBS証券(82.12%)、Ban Viet証券(70.11%)である。SSI、HPC、SHS等の
上場会社も自己売買活動の売上が全体の中で大きな比率を占めている。

一方で仲介活動の売上はあまり大きくなく、全体の12%~22%にとどまる。
このため、仲介活動は現在の証券会社での主な活動ではなくなってきている。
2010年の会計報告書を見ると、仲介活動で最大の売上を達成した証券会社は
TLS(Thang Long証券株式会社)で、2,340億VNDの売上を達成し、全体の
17.88を占めている。その次に続くのがSSIで売上は 1,760億VND、これは
全体の11.71%に相当する。ホーチミン市証券株式会社は仲介活動の売上が
1,510億VNDで全体の32.08%となっている。

「その他の売上」が証券会社の会計報告書では大きな割合を占めている。

2010年の「その他の売上」は全体の38.66%で、5.454兆VNDに達している。
今年の第1四半期会計報告書では「その他の売上」が50%近くを占めている。

具体的な社名を挙げると「その他の売上」が高かったのはAGR(9,750億VND)、
KLS(8,550億VND)、SSI(4,730億VND)。この3社は「その他の売上」の
比率が全体の中でも非常に大きい。

他にも「その他の売上」が全体の60%以上を占める証券会社は20社ある。

証券会社の会計報告に記載された説明では、「その他の売上」は証券担保に
関する預金金利。このため「その他の売上」が大きな比率を占めているのは
投資家に対する資金貸付活動が積極的に行われたことを意味している。

投資コンサルティングや発行保証以外の業務については、売上がわずかな
割合しか占めていない。2010年では発行保証活動によって売上を得た会社が
23社しかなく、これらの活動で最大の売上を獲得した会社はSBSである。
SBSは350億VNDの売上を達成している。

投資コンサルティング業務による売上は、2010年に7,120億VNDしか
達しておらず、そのうち最大の売上を記録した会社はFPTS (1,70億VND)と
SSI (1,80億VND)である。

急増する証券会社の活動リスク

上記の分析からは証券会社の活動が様々なリスクを抱えているのが分かる。

仲介の「ケーキ」が証券会社100社にとっては小さ過ぎるのだ。2010年、
証券会社全体での売上は2.398兆VNDしかなく、株主資本34.538兆VNDと
比べて小さ過ぎる。 統計の対象となった94社のうち約半分弱の40社は
売上が100億VNDに達していない。

厳しい競争が背景にある現在で、先端技術やオンライン取引の整備に伴い
財政力と技術整備の弱い会社は仲介分野で競争できない状態にある。今の
市場で仲介活動を継続することは困難である。

また、自己売買活動も決して簡単ではない。2008年には70%の証券会社
(88社中の61社)が自己売買活動で赤字となり、2010年にその数字を26.59%
(94社中25社)に減少させた。2011年の第1四半期では上場会社の50%が
営業的に赤字となっている。証券会社は自己売買活動を重視するが、知識と
能力の部分で不足していることが赤字の原因である。

投資家に対する資金貸付活動はリスクが大きく、投資家への資金貸付活動は
証券会社に利益をもたらすが、同時に様々な問題と直面しなくてはならない。

2010年の統計で証券会社全社の「その他の売上」は21.806 兆VNDに達した。
2011年第1四半期に上場した26社は「その他の売上」が10.500 兆VNDに
達している。この業績は現在の市場における流動性を見ると大き過ぎる。

現在、国家銀行は各商業銀行に生産以外の分野で資金貸付割合を年末までに
16%に減らすことを要請している。これによって、証券投資活動に対しての
資金貸付が制限される。

投資コンサルティング、発行保証以外での活動による売上比割合は全体的に
まだ小さい。現在の経済状況ではこれらの活動が積極的に展開されることを
期待するのは難しいだろう。

証券会社の組織改造

市場悪化の状況からは証券会社の発展的な展望が良好ではないと言えるが、
もう一つの重要な原因として証券会社同志の競争が挙げられる。証券会社の
組織改造、合併等はこれから当然のように発生することである。

これと同様のことは新たな発展国でも発生している。中国には以前2,00社の
証券会社があったが今はわずか107社しか残っていない。タイも2,00社から
50社に減少し、台湾では278社から48社に減っている。ベトナムの場合は
証券市場の規模が数十倍も小さいが、証券会社の数も多く不自然な状態だ。

最近、証券会社のM&A活動が積極的に行われている。数社のベトナム銀行と
外国の金融機関がベトナム証券会社の株式を購入した。これは証券分野の中で
積極的な傾向と言える。

多くの人は小規模な証券会社同志の合併を予想したが、実際にはまだ一件も
行われていない。

現在の経済状況では組織改造を行わなければならない証券会社が出てくるのは
当然の成り行きである。また倒産する会社も出てくるが、それは市場にとって
良いことと言える。


サイゴンエコノミックスタイムズ  2011年6月3日

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