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2012年12月06日

ベトナムは中国を撤退した日本に選ばれるか?


JICAの専門家はベトナム政策の脆弱性が投資家の営業戦略に
大きな影響を与えたと述べた。


ベトナムが現状で日本企業の中国撤退という絶好のチャンスを
活かせなかった場合、非常に残念な結果を招くことになる。
しかし、どうやってこの機会を掴むのかは、また別の話である。
(Yoshiharu Tsuboi-JICA高級顧問)

以下はTsuiboi高級顧問に対して行われたインタビューである。

不足しているのは決断力のみ


Q:現在の状況はベトナム政府が実施している対策が弱く、
変更も相次いでいる。この理由は調査・研究やデータベースが
不足していることだ。この20年間のベトナム政策について
どのように考えているか?


A:その意見は正しい。多くの日系企業が長年にわたって、
ベトナムの実施した政策の脆弱性や曖昧性によって営業戦略の
企画に大きな影響を受けた。

しかし、データベースの作成は非常に大変な作業であり、
膨大な時間と経費がかかる。決断力だけでは足りない。

Q:JICAの高級顧問としてベトナムへのデータベース作成と
政策策定体制作りに協力することをJICAに提案できるか?


A:現在、日本のODAは主に道路、橋、港、空港等、インフラの
整備開発に活用されている。今後は一部が継続または能力向上に
導入される予定だ。JICAでの私の役目はそれらの促進である。

私は今、谷崎駐ベトナム日本大使と共に5つの分野を中心として
力を入れている。それはベトナムの工業開発戦略、各レベルの
人材育成(高等教育、職業訓練、看護婦・介護士の養成)、
財政政策、ベトナムの憲法改正、ベトナム貨幣の発行である。

Q:財政分野での日越協力について具体的に教えていただききたい。

A:日本の財務省が年初からベトナムの財務省や、国家銀行等の
政府関係機関とベトナム銀行の不良債権解決について相談しており、
「バブル経済」に応じるための対策(法律面を含む)も協議した。
不動産取引には、その中でも一番最初に目を通した。

Q:憲法改正については?

A:日本の参議院と憲法の専門家(Hasebe Yasuo-東京大学教授、
Takami Katsutoshi-上智大学教授)が法務省および国家法案委員会で
構成するベトナム憲法改正委員会をサポートしている。

Q:日本はベトナムにどんな問題のアドバイスを行っているか?

A:立憲主義、政治構造、人権、裁判所の独立性等…

Q:日本の投資家から見て中国では安全な営業環境が持続されているか?
日本投資家の一部が営業生産活動を東南アジアに移す可能性はあるのか?
中国+1の傾向や中国からの撤退傾向が強い中、ベトナムにはチャンスが
与えられるか?ベトナムにとって外国からの投資資金調達はありがたいが
外国投資にとってベトナムの魅力は大きいと言えない。


A:その通りである。現在、それらは日本でも大きな問題となっている。
しかし、残念なことに大部分の投資家は、インドネシアやタイは選ぶが、
ベトナムを選ぶことは少ない。

日本の企業はベトナムの法律が不安定なことについて特に懸念しており、
将来的な状況の変化についても予測できないことに不安を感じている。

日本はベトナムに強くなって欲しいと願っている。短期間ではなく長期的に
弱点を改善して重要な役割を持つ国になって欲しい。

弱点の克服や日越の戦略的関係促進には、ベトナムが3つの重要な問題を
解決しなければならない。それらは経済発展の基盤として法律のシステムと
運営を早急に充実化させること、人材育成・工業開発政策を策定することだ。

ベトナムは農産物の加工、環境関連の分野を選択するべきである。

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ベトナムに対する日本からの提案

1.汚職問題と行政手続の複雑化問題

ベトナムで何らかの活動を展開する場合、準備の段階で複雑な行政手続を
踏まなければならず、非常に時間がかかる。日本は理由のない経費支払いを
要求され、思い通りのビジネスが展開できないため、不満を持っている。
それには政治と行政に関係する不明確な問題が絡んでいる。

2.日本企業の多くはベトナムに優秀で若い人材が多いと聞いているが、
ベトナムで自分で必要な人材を雇用することはできない。

現状でベトナムの人材は戦略的な問題をまだ考えることができず、30年~
50年後の視野も持っていない。10年後に生活で必要な技術と多様的知識に
対応できる若い人材は、ベトナムの将来にとって不可欠な要素である。

3.工業化

ベトナムは現在、将来の主力となる工業分野をまだ確立できていないため、
これが今後の発展に不利な影響を与えることとなる。

2015年~2016年までにベトナムが主力工業分野を確立できなかった場合、
ベトナムの工業化戦略は2020年まで実を結ばないだろう。

サイゴンエコノミックスタイムズ  2012年12月6日

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