« ベトナム株式市況 08/21 | メイン | ハノイにもようやく… »

2008年08月23日

危機を脱出したベトナム経済 今後の課題


インフレは、金融政策の実施にあまり良い影響を与えない。
国際決済はまだ安定を維持しているものの、
政府は、国内の資金源確保のため、
高い金利制度を続けざるを得ない。
VietNamNetは、ベトナム金融状況に関して、
Standard Chartered Bank金融グループの
分析を以下のように紹介している。

Standard Chartered Bankの
世界経済研究センター (CEIC)は
3つの問題点について、以下のように分析している。
①貿易赤字の減少と、FDI増加により、
 金融危機発生の恐れは軽減している。
②厳しい金融政策は、経済発展にあまり影響しない。
③国家銀行は資金源確保のため、
 金融政策をさらに厳しくすべきである。

①貿易赤字の減少と、FDI増加により、
 金融危機発生の恐れは軽減している。

4月、5月の貿易赤字によって、
金融危機発生が予想されたが、
市場は次第に改善されている。
一般的には、ベトナム金融市場が
これ以上激しくはならないと考えているが、
CEICは、成長率が下がり続けると、
銀行分野に圧力がかかると共に、
中期成長に対して、あまり良い影響を与えないとしている。

インフレ状況が良くないと、金融政策の実施も難しい
というのが、大半の意見だ。
国際決済は安定を維持しているが、
政府は、国内の資金源確保のため、
高い金利を維持しなくてはならない。
Standard Chartered Bankは、
本当の金利に大きな影響を与えないためにも、
金利をもっと高く上げるべきと考えている。

資金力を効果的に活躍させる心理

数ヶ月前、ベトナムドン/USDの為替レートが
急落したことや、外貨預金金利が引き上げられたことがあったが、
市場がまだ冷静にしていた。
12ヶ月の期間に、この為替レートは、
一気に25,000ドンから19,200ドンに下がった。
(流動性の悪化により信用が下がることとは関わらず)
Standard Chartered bankによると、
これは、貿易赤字の減少や、
外国直接投資資金の急な増加によるものである。

6月、7月、貿易赤字は改善、
月間10億ドルの減少となった。
1月から5月までの貿易赤字
   月平均27億ドル(グラフ1)であった。
年初7ヶ月の貿易赤字は150億ドル。
6月、7月の輸出額 62億ドル以上、
   前年6月比+53.7%、7月比+46.1%。
今回、2006年11月から初めて、輸出額が輸入額を超えた。

グラフ1: 貿易赤字が次第に減少(単位:100万ドル)
080822.jpg1.jpg

ここで注目すべきなのは、
輸出額が、世界経済の不安定に関わらず、
今年に入っても、急増し続けていることである。
消費者物価の高騰は、輸出額増加に大きく貢献した。
輸出製品の種類拡大などは、非常に印象的である。
年初7ヶ月で、繊維の輸出額は前年同期+19.7%、
その他、靴+18%、電子製品+30%。
自動車は輸入税の引き上げにより、輸入車数が減少している。

ここで、鉄の輸入が最大の影響を与えている。
ベトナムは今年3月、約10億ドルの鉄製品を輸入している。
6月、7月、輸入額は急に下がり、4.3億ドルとなった。
これにより、貿易赤字は月6億ドル減少した。
この状況が年末まで維持できれば、
政府の予想では、貿易赤字は200億ドルになる可能性が高い。
ただ、全世界の物価は、引き続き上昇している。
ベトナム製品の需要がまだ大きい。

グラフ2: FDIの資金が毎月増加している。(単位:100万ドル)
080822.jpg2.jpg

また、驚くべきは、貿易赤字の大きさに関わらず、
直接投資資金(FDI)が急増していることである。
FDI申請額は、年初7ヶ月で440億ドル。
6月、7月に政府は、300億ドルの
外国直接投資案件を承認している。
FDI統計によると、
6月、台湾が80億ドルで最大投資国となった。
その次が日本で62億ドルである。
マレーシア(35億ドル)とタイ(38億ドル)は、
7月の最大FDI投資国となった。

これらは案件規模が大きく、
申請額に相当する案件数は増えていない。
このFDI数値については、慎重に検討しなければならない。
まず、申請額である。
資料を見ると、中国ではこの額は、
国内生産総の5%以下であるが、
ベトナムでは45%を占める。

当然、申請額が大きければ、
外国投資家のベトナムの発展に対する
信頼の大きさを現していることになる。
ベトナムはアジア地域で、
生産ラインや人材確保の場所として見る外国投資家が多い。
年初より、市場が大きく変動しても、
ベトナムに対する外国投資家の見方は変わっていない。

大規模投資案件は、自然資源、販売市場と関係している。
しかし、これらは申請額の大部分が、
直ぐに投資されないことを指している。
実際の実施額は、申請額の一部のみに留まる。
今までの経験にから、Standard Charteredは、
実施額は申請額の15%~20%の可能性が高いと考えている。

ベトナム金融状況について、Standard Charteredは、
国際決済の危機は避けられたと考えている。
しかし、今年の貿易赤字は依然高く、
200億ドル以上である。
ただ、FDIの約100億ドル、
ベトナム人居留民の送金約80億ドル、
ODA支援により、これを補充することができる。
従って、外貨予備資金の増加は、
まだコントロールできる状況にある。

②厳しい金融政策は、経済発展にあまり影響しない

2008年第2四半期のGDP成長率は5.8%で、
最も低かった2000年第1四半期より低い。
これは、政策策定者に、
成長停止を警告することになった。
そのため、インフレ改善時には、
国家銀行は、金融政策を緩和すると考えられる。

Standard Charteredは
先月(2008年7月22日)の報告書の中で、
「金利の切り下げは、まだ早い。」とした。
インフレは前年同期比+30%以上だが、
今後は次第に下がり、2009年第1四半期に
20%でストップする。
特に、7月21日のガソリン価格の引き上げが、
インフレに影響を与えている。

他の資料では、ベトナムは経済の一部では衰退したが、
別の一部が今年前半で急速に成長している。
各分野を見ると、2008年第2四半期の衰退したのは
鉱山開拓、石炭開拓(前年同期比-12.2%)、
建設(-0.5%)、不動産売買・貸出活動(-4.7%)。
金融市場の弱体化は、金融サービスの成長に影響を与えた。
しかし、製造業は+12,6%、サービス業は+7%になり、
連続して安定的に発展している。
これにより、4月、5月の金利引き上げは、
経済発展に大きな影響を与えなかったといえる。

080822.jpg3.jpg

小売分野の売上(グラフ3)は、高く維持されており、
昨年年初5ヶ月から+30%以上を達している。
インフレ上昇の中で、安定はしないが、
Standard Chartered Bankの計算によると、
6月、7月に約10%を維持することができている。
つまり、証券市場と不動産市場の影響は、
小売分野には反映されていない。

最後、経済活動を支える運搬分野の成長を見ると、
2008年前半、ベトナム経済は
まだ高い成長率を維持している(グラフ4)。
運搬経費はトン・キロメートルで計算されるが、
年初7ヶ月は前年同期比+67%。
主に、海運分野で急増し、貿易ブームを反映している。

つまり、第2四半期GDP成長は良くないが、
Standard Charteredによると、
これは主に、不動産活動の影響である。
他の経済指数は、まだ高く維持されており、
高金利はそれほど影響を与えていない。
各管理機関は、金利の再引き上げを準備していない。
国際決済がバランスを取れること、
金利が高く維持されることは、
資金源確保のために必要なことである。

これは今の困難な状況(実際金利のマイナスは大きい)
の中で、大きな問題である。
従って、Standard Charteredは
年末まで引き続き金利は上げるべきとしている。
為替レート、貿易赤字は改善されてきているものの、
管理機関がベトナムドン不足を改善するために、
ベトナムドンを切り下げる方式を中心に考えている。


GDP、インフレ、為替レートに関するCEICの予想


08-第3四半期08-第4四半期09-第1四半期 09-第2四半期 09-第3四半期2007 2008  2009
GDP(% )6,50 6,40  6,00 5,50 6,50 8,50   6,70 6,00
インフレ(% )29,40 31,00  24,00 16,10 11,10 8,30  25,50  15,0
公定歩合(%) 14,00 18,00  16,00 14,00 12,00 8,25  18,00  10,00
USD/VND  17.000 17.500  17.300 17.100 17.000 16.017  17.00  17
VNN


Vietnamnet.com  2008年8月22日


« ベトナム株式市況 08/21 | メイン | ハノイにもようやく… »

    ・本資料に記載された情報の正確性・安全性を保証するものではなく、
     万が一、本資料に記載された情報に基づいて
     皆さまに何らかの不利益をもたらすようなことがあっても 、一切の責任を負いません。
    ・本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、
     投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。
    ・本資料の全部または一部を無断で複写・複製することを禁じます。

運営会社編集方針お問い合わせプライバシーポリシー