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2009年04月11日

不足と余剰 労働市場の対極


労働市場において、
経済危機の影響は、まず、
失業率および企業の労働者使用率に
表れる。


経済危機はどの面において
最も明らかに表出するか。
企業の場合は、契約数、売上、利益減少の面で
姿を現す。

また、経済が衰退した影響で
労働者は職を失うが、
人材が不足しているにも関わらず、
適切な人材を雇用できない企業も少なくはない。
質の高い労働者は、企業の需要に応じることなく、
また、十分なスキルを持った労働者も
なかなか就職先が見つからない。
これが、現在のベトナム労働市場の状態である。

情報の透明性が不足
ベトナム労働省の統計によると、
2008年末までに約3万人の労働者が
経済衰退の影響で失業した。
ただ、労働省は引き続き
2009年の失業者が約15万人になると予測した。

国際労働機構(ILP)の予測によると、
GDPが1%を成長すると、
失業率は0.33%~0.34%減少する。
この指標によると、2008年、
ベトナムのGDPは2%減少したので、
失業率は0.65%増加、失業者は30万人になる。

また、他の情報によると、
各地方の工業団地では、この数ヶ月間で
22,000人もの労働者が解雇された。
そのうち、数社は倒産したもので、
労働者全員が失業状態に陥った。

例えば、キャノンは
Thang Long工業団地とQue Vo工業団地の
二つの工場で2,000人の労働者を解雇した。
そして、Van Loi鉄工場(Hai Phong市)は
1,000人の労働者をテトの直前に解雇した。

ホーチミン市について、
労働局の当初の統計によると、
約26,401人が失業、
15,528人が労働時間の短縮を迫られた。
今後、ホーチミン市では約7000人の企業労働者と
4000人の工業団地の労働者が職を失うと予測される。

一方で、ホーチミン市就職案内センターは
驚くような統計を発表した。
同センターによると、ほとんどの分野では企業において
労働需要は実際の労働者の数より大きい
とするものである。

それによると、2009年第1四半期末時点で
15,285人の労働者が求職状態であるのに対し、
13分野773社の雇用需要が20,882人である。
さらに、第2四半期には
各分野間の労働者の移転がさらに大きく変動する。
特に、繊維分野、靴加工分野、手作り芸術分野は
労働者不足の状況がまだ激しいとする。

これは一就職案内センターの統計であるが、
ただ、経済衰退の背景において、
企業の雇用需要に十分に対応できない状況である。
では、原因は何か。

考えるべきこと
Hai Phong市のあるFDI関係企業の社長によると、
労働者の変動はテト明けの「伝統的な」ことであるという。
経済の低迷も一つの理由ではあるが、
テト明けに職場に戻る労働者は
全体の約90%しかないのも事実である。

2008年、労働者の就業率と収入は、
経済衰退の影響で大幅に減少した。
この二つの理由で
労働者は職を去り、また新しい職場を
探すことになっている。

ホーチミン市就職案内センターの調査結果によると、
ホーチミン市で長年活動している企業の
労働者の変動率はテト明けが10%~15%である。
実際、ホーチミン市の労働市場は不足していない。

また、アメリカのGallup学院の調査結果によると、
経済危機の影響で失業することを恐れるとする人は
インタビューに応じた全体の31%で、
39%の人はすぐに新しい仕事が見つかると考えている。
ただ、新しい仕事が見つけるまでに
時間が掛かると考える人は55%以上を占める。

ベトナム労働者の楽観性は
ベトナム研究者の調査でも明らかである。
ベトナムの動労者は、
農村出身の単純労働者が多いため、
失業すると地元に戻ることが多い。
一方、就職しても、
定期的に休暇を取って地元へ帰る。
このように、失業は労働者にとって
さほど災難ではない。
従って、ベトナム人は、
現在の仕事や失業の危機に対して
冷静に反応する。

経済衰退が終了した後、
経済回復にはかなりの時間が必要であろう。
従って、企業の人材育成戦略立案においても
この経済危機の時期と現状を、
より正確に予測する必要がある。

なぜなら、労働者にとって、
仕事は簡単に無くなるとが、
新しい仕事も簡単に出現する。
しかし、企業においては、
人材が安定しないと、
安定した生産活動が行えないからだ。



企業フォルム 2009年4月10日

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