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2009年07月30日

Vietinbankに関する未発表情報


ベトナム商工銀行 Vietinbank (CTG)は
正式にHOSEに上場するまで
2008年12月25日のIPOから
6カ月半しか掛かっておらず
ほかの大企業と違って、
同行の民営化と上場はより早く行われた。
これは、関係機関と条件を満たす企業とが
真剣に取り組めば
国営企業の改善が
促進されることを示すものである。


Vietinbankは民営化された後、
IPOの開始株価(2万ドン)や
上場初日の参照株価(5万ドン)、
上場初日の取引開始値が
最低限度株価(4万ドン)であったことなどが
投資家中で活発に議論された。
なぜ、このような短い時期で
同行の株価が大きく上下したのか。
それは、同行に関する未公開情報のせいである。

資本金約2.147兆VND減
IPOを前にした去年12月末に発表された
Vietinbankの資本金は13.4兆VNDで、
資本金の4%に相当する株式が
民間に5,360万VNDで売却された。
そして、社員に対して有利発行された2,278万株式が
落札平均株価より40%低い株価で売却され、
これらは資本金の1.7%に相当する。
さらに、同行の労働組合が
資本金の1%に相当する
1,340万単位の株式購入を申請し、
実際には当初の申請数の2倍に当たる
2,680万単位の株式を購入した。
また、同行の資本金の10%に相当する株式が
外国戦略パートナーに譲渡される予定である。

そして、Vietinbankは上場1週間前に
急きょ、新資本金について発表、
その額は11.253兆VNDしかなく、
IPOの時より2.147兆VND減らしていた。
そのうち、国有資金が10.040兆VNDで、
投資家に発表された同行の統一主資金報告で
Ernst & Young会計検査会社が
この問題について注意を勧告した。

2008年9月23日の政府決定によると、
Vietinbankへの国有出資資金は
2007年12月31日まで計算されるが、
同行が正式に株式会社になる前日である
2009年7月2日に、国有資金の追加増加資金が
2.985兆VNDになった。
だが、この資金は
同行の国有資金には計上されておらず
資産項目に掲載されているものの、
整理についてまだ決定されていない。

2.985兆VNDの資金は
予備ファンド、福祉ファンド、ボーナスファンド、
会社の利益ファンドの中に保有されている。
上場報告書によると、
Vietinbankは2009年末と2010年に
追加で1兆VNDと1.4兆VNDを
それぞれ増資する予定。
また、この出資源は会社の利益ファンドなどの
各ファンドである。
ただ、この増資資金が、株主に対して
株式所有率に基づいて分けられるか、
国有株主にしか分けられないかは
明らかにされておらず、
この場合は、国有株主に対して
有利発行される可能性が高い。
その理由は、Vietinbankが
国有株主と戦略株主に対して
年別の有利発行計画を行ったことである。
例えば、2010年に3.750兆VNDを
国有株主と戦略株主に対して
有利発行する予定である。
上場直前までに資本金を大きく減らすことは
利益/資本金、利益/売上指数を改善することができ
同行の株式の魅力を高めるものとなる。

09年第1Qの税引き前後の利益格差
上場報告書の中で、
2008年のVietinbankの
税引き前利益が2.436兆VND、
税引き後利益が1.804兆VNDと掲載されたが、
2009年第1四半期では
税引き前利益、税引き後利益が共に急増し、
それぞれ1.206兆VND、1.204兆VNDである。
もっとも、この利益は
ほかの信用機関より高そうにみえるが、
実際はそうではない。

2009年第1四半期の利益が急増するのは
Vietinbankが一部の経費を
まだ計上していないからである。
具体的には、2009年3月31日までの
貸出資金に対する信用リスク準備資金は
まだ引き当てられていない。
この準備資金分が1,760億VND、
そして1020億VNDの収益税も
差し引かなければならない。

特に、Vietinbankは
まだ年初3カ月分の給与しか経費計上しておらず、
本来であれば、さらに3,070億VNDを
差し引かなければならない。
また、ここで強調したいことは
同行がこの3年間で
驚くほど給与を増額させたことである。
同行の平均給与は、
2006年には一人月間550万VNDであったが、
2007年に837万VNDに、
2008年には1,127万VNDにそれぞれ
引き上げられた。

従って、全経費を差し引くと、
2009年第1四半期の税引き後利益は
6,190億VNDしか残らず、
前年利益の34.3%相当しかない。
この数字は、発表された1.204,6兆ドンと
かなり大きな差がある。
また、同行がこれらの経費を
第2四半期に計上すれば、
第2四半期の利益はごくわずかなものとなるが、
この点についても同行は上場前に発表していない。

資金調達のマーケットシェア
Vietinbankはベトナムにおける
主力の国営信用機関であるため、
資金営業で大きなシェアを持つのは
想像に難しくない。
実際、同行は2008年の貸出市場で
11.6%のマーケットシェアを占めている。
さらに、輸入企業に対する資金協力市場では8.46%
輸出企業に対する資金協力市場では7.94%の
マーケットシェアを持っている。

資金調達市場について、
Vietinbankは成績を発表していない。
金融分野では資金調達のマーケットシェアが
最も重要であり、
企業の競争力や信頼性を表す指標である。
収集されたデータによると、
同行の資金調達成長率は
2007年の19.5%から
2008年には9.6%と
急激に減少しているという。

また、Vietinbankの年初3カ月の預金残高は
去年末の121.323兆VNDから
128.095兆VNDと5.5%しか増加しておらず、
同行が資金を調達するためは
他行と競争を余儀なくされる状況にある。
同行の資金調達の構造は
市民からの調達資金が55.6%、
経済機関からの調達資金が38.5%、
その他セクターからの調達資金が5.9%である。
このうち、経済機関の預金が減少するのを
Vietinbankをはじめとした
国営商業銀行全体が恐れている。

さらに、資金調達と資金貸出のアンバランスも
今後、Vietinbankが直面すると思われる
問題である。
(2007年の資金貸出成長率が25.3%、
2008年が18.03%であったが、
2009年の年初4カ月は10%しかなく、
資金調達成長率も5%である)

昨年のVietinbankの収益の基本は
主に信用部門の利益によるもので、
サービス部門の利益が小さく、
同行は外貨売買業界においては
知名度はさほど高くはない。
また、同行は外貨の自己売買活動も
あまり積極的には行っておらず、
売買額は月間1億USDにすぎない。
このように、サービス部門の利益の割合は
ほかの信用機関よりかなり低く
Vietinbankが活動を多様化するのは
まだ先のことと思われる。



サイゴンエコノミックスタイムズ 2009年7月29日

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