迫られる経済再構築 将来の方向性は?
経済成長の引き上げ要素が弱まり、
成長への課題が明らかになってきた段階では、
長年の課題であった経済の再構築は、
解決を迫られる課題となってくる。
サイゴンエコノミックスタイムズ 2010年1月22日
成長への課題が明らかになってきた段階では、
長年の課題であった経済の再構築は、
解決を迫られる課題となってくる。
ベトナム経済はどのように再構築されるべきであろうか?
成功の要素と20年間で発生した問題、国際経験を見ながら、分析していく。
生産力の開放
この20年、成功した原因は様々あるが、
一番重要なのは、生産力が開放されて有効的に発揮されたことである。
能力をある程度貯めた後、
ベトナムは4,000万トンの食糧を生産することができた。
畑が農民に返され、2000年の企業法に基づき、
民間企業が自社の強みを自由に生かすことができるようになった。
そのため、ベトナム経済は急速に成長することができた。
最も大きな成功は、人口の半分以上が貧困状態を脱出したことだ。
ベトナムは中級所得の国(一人当たりのGDPが1,000USD以上)となり、
この20年で7.5%以上の成長率を維持してきた。
食糧や生活必需品を大量に輸入していたベトナムが、
20年後には世界で農産物や家庭用品を輸出する国になっていた。
胡椒は世界1位、米とコーヒーは世界2位、
茶・ゴム・水産物・繊維物・木材の輸出も順調だ。
ベトナム国民の生活は年々向上している。
ただ、輸出商品は未精製であるものが多い。
付加価値を作ることへの投資はまだ適切に行われていない。
将来の方針
2020年に工業国となる、という目標を達するため、
この近年、自動車製造、鉄、造船等の産業で
数十億ドルの減免税制度が採用された。
ただ、これらの分野は現時点でベトナムの強みとは言えない。
現在、世界有数の自動車メーカーは殆どベトナム進出を果たしている。
数年前、ベトナムは5万トン以上の造船契約を締結することができた。
ただ、これらの産業は、国の強みから開発されたわけではない。
ベトナムは10年前から工業化政策を実施している。
Intel、Canon、Samsungが数十億ドルを出して
ベトナムに最新鋭の工場を建設することなど、以前なら誰も考えなかった。
なぜ、これらハイテク企業がベトナムに巨額の投資を行ったのか。
理由は二つある。
(1)ベトナム市場の潜在力が大きいため。
例えば、越人口の10%がIntelのチップを使用すると、
市場規模が30~40億となる。
(2)良質な人材力
これらはベトナムの強みを生かす分野だろう。
ただ、現在は自国での開発ができないため、
外国企業を呼び寄せることが適切な戦略となる。
外国自動車メーカーがベトナムに参入する理由
外国自動車メーカーがベトナムに参入するのは、
国の潜在力を見込んでのことではない。
優遇な課税制度や利益を作れる市場の規模を見越してのことである。
ベトナムは2008年に10億USD、5.1万台の車両を輸入した。
輸入税率を平均60~70%と計算すると、
国が6億~7億USD得たことになる。
同様に10万台の車を組み立てるため、
14億USDで自動車部品を輸入した場合、
輸入税率は平均20~30%となり、
納税額は3億~4億USDに押さえられる。
これが、完成した車両として輸入された場合、
輸入税は8億~10億USDとなる。
税金の差額は少なくとも約5億USDとなり、
100万トンの米の価格に相当する。
ベトナムでは、組み立てられ1台の車に対し、約5,000USD、
年間2,000USD(一人当たりGDPの2倍)が支援されている。
自動車分野の関係者は、直接だと5万人、間接でも20万人である。
また、上記の税金の格差は主に企業が得ている。
投資規模がさほど大きくないところを見ると、
外国企業は短期の優遇課税措置を得るために参入しているのであって、
国内で長期的に自動車工業を開発する気はないことが伺える。
税金の優遇制度がなくなり、市場が開放されれば、
完成された車両を輸入してベトナムで販売することになるだろう。
開発の方向性
このように分析してみると、工業開発や工業化計画は、
国の実情にあまり合っていないようにも思える。
ファッション、服作りは繊維工業に近い。
付加価値の高い海老、魚、米、コーヒーの加工技術の向上は、
輸出の次のステップとなるだろう。
しかし、それは鉄や自動車製造工業とは全く異なる。
ベトナムの場合、輸出製品の主力と国が力を入れている分野の距離がかなり大きく、
企業は直ぐに活動分野を移転することができない。
これはベトナム経済の大きな問題である。
成功のために検討すべき課題
(1)ベトナムの強みを発揮できる農業、水産、繊維、靴製品の
生産と、近い工業分野に対して力を入れる。
また、これらの分野を開発することで、貧富格差を縮小し、
国民全体に利益を与える。
(2)精密機器製品の生産分野に対する開発を行う。
具体的にはIntel、Canon、Samsung等の企業に向けた人材育成を行い、
ソフトウェア開発の人材を養成する。
(3)外国投資を呼びかける。
つまり、ベトナムは自分の強みを生かすための
経済再構築を行うべきである。
成功の要素と20年間で発生した問題、国際経験を見ながら、分析していく。
生産力の開放
この20年、成功した原因は様々あるが、
一番重要なのは、生産力が開放されて有効的に発揮されたことである。
能力をある程度貯めた後、
ベトナムは4,000万トンの食糧を生産することができた。
畑が農民に返され、2000年の企業法に基づき、
民間企業が自社の強みを自由に生かすことができるようになった。
そのため、ベトナム経済は急速に成長することができた。
最も大きな成功は、人口の半分以上が貧困状態を脱出したことだ。
ベトナムは中級所得の国(一人当たりのGDPが1,000USD以上)となり、
この20年で7.5%以上の成長率を維持してきた。
食糧や生活必需品を大量に輸入していたベトナムが、
20年後には世界で農産物や家庭用品を輸出する国になっていた。
胡椒は世界1位、米とコーヒーは世界2位、
茶・ゴム・水産物・繊維物・木材の輸出も順調だ。
ベトナム国民の生活は年々向上している。
ただ、輸出商品は未精製であるものが多い。
付加価値を作ることへの投資はまだ適切に行われていない。
将来の方針
2020年に工業国となる、という目標を達するため、
この近年、自動車製造、鉄、造船等の産業で
数十億ドルの減免税制度が採用された。
ただ、これらの分野は現時点でベトナムの強みとは言えない。
現在、世界有数の自動車メーカーは殆どベトナム進出を果たしている。
数年前、ベトナムは5万トン以上の造船契約を締結することができた。
ただ、これらの産業は、国の強みから開発されたわけではない。
ベトナムは10年前から工業化政策を実施している。
Intel、Canon、Samsungが数十億ドルを出して
ベトナムに最新鋭の工場を建設することなど、以前なら誰も考えなかった。
なぜ、これらハイテク企業がベトナムに巨額の投資を行ったのか。
理由は二つある。
(1)ベトナム市場の潜在力が大きいため。
例えば、越人口の10%がIntelのチップを使用すると、
市場規模が30~40億となる。
(2)良質な人材力
これらはベトナムの強みを生かす分野だろう。
ただ、現在は自国での開発ができないため、
外国企業を呼び寄せることが適切な戦略となる。
外国自動車メーカーがベトナムに参入する理由
外国自動車メーカーがベトナムに参入するのは、
国の潜在力を見込んでのことではない。
優遇な課税制度や利益を作れる市場の規模を見越してのことである。
ベトナムは2008年に10億USD、5.1万台の車両を輸入した。
輸入税率を平均60~70%と計算すると、
国が6億~7億USD得たことになる。
同様に10万台の車を組み立てるため、
14億USDで自動車部品を輸入した場合、
輸入税率は平均20~30%となり、
納税額は3億~4億USDに押さえられる。
これが、完成した車両として輸入された場合、
輸入税は8億~10億USDとなる。
税金の差額は少なくとも約5億USDとなり、
100万トンの米の価格に相当する。
ベトナムでは、組み立てられ1台の車に対し、約5,000USD、
年間2,000USD(一人当たりGDPの2倍)が支援されている。
自動車分野の関係者は、直接だと5万人、間接でも20万人である。
また、上記の税金の格差は主に企業が得ている。
投資規模がさほど大きくないところを見ると、
外国企業は短期の優遇課税措置を得るために参入しているのであって、
国内で長期的に自動車工業を開発する気はないことが伺える。
税金の優遇制度がなくなり、市場が開放されれば、
完成された車両を輸入してベトナムで販売することになるだろう。
開発の方向性
このように分析してみると、工業開発や工業化計画は、
国の実情にあまり合っていないようにも思える。
ファッション、服作りは繊維工業に近い。
付加価値の高い海老、魚、米、コーヒーの加工技術の向上は、
輸出の次のステップとなるだろう。
しかし、それは鉄や自動車製造工業とは全く異なる。
ベトナムの場合、輸出製品の主力と国が力を入れている分野の距離がかなり大きく、
企業は直ぐに活動分野を移転することができない。
これはベトナム経済の大きな問題である。
成功のために検討すべき課題
(1)ベトナムの強みを発揮できる農業、水産、繊維、靴製品の
生産と、近い工業分野に対して力を入れる。
また、これらの分野を開発することで、貧富格差を縮小し、
国民全体に利益を与える。
(2)精密機器製品の生産分野に対する開発を行う。
具体的にはIntel、Canon、Samsung等の企業に向けた人材育成を行い、
ソフトウェア開発の人材を養成する。
(3)外国投資を呼びかける。
つまり、ベトナムは自分の強みを生かすための
経済再構築を行うべきである。
サイゴンエコノミックスタイムズ 2010年1月22日