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2008年09月09日

株の急落はむしろ良い兆候: 政府は民を見放さない


8日(月)現在、中国株はまだ下げている。株価が下がれば下がるほど、
またできれば短期間に急落するような事態が続けば続くほど、
中国政府はおそらく市場に対し、放任主義をとることはないであろう。

なんと言っても13億人が相手である。社会不安を最大の敵とする政府にとって、
人民の安定した生活は何においても最優先されてきた。
資産の目減りが論点ではない。銀行からの融資減額により、
特定産業間での生産調整による雇用環境の悪化(生産調整を強いられた企業は
業績低迷、株価もじり貧のケース)。それに起因した失業が社会問題となった場合、
政権の命取りとなるケースが大にして起きうる、ということ。
これは中国政府にとって百も承知のことで、是が非でも回避したいところである。

さて、最近の株価下落の原因は、不動産業界の供給過剰懸念から
不動産価格が大幅に引下げられ、関連企業の収益が予想以上に悪化する可能性が
材料視されているとのこと。北京オリンピック後の景気鈍化が、
まるで予想的中されたかのように、月次ベースの固定資産投資が減額され、
8月以降の株価は全くさえず、現在、下値模索の展開だ。

これまで急騰した中国A株の軌跡は、世界経済を牽引するだけの需要が
中国から喚起することができ、資源関連やインフラ関連企業が売り上げを伸ばし、
潤ってきたことが背景にあった。当然、背後で融資してきた大手銀行銘柄の業績は
軒並み高水準で推移し、世界の資金を集めてきたわけだ。

ただ、経済発展途上国についてまわる経済運営や市場インフラ(投資家層含む)の
「未熟さ」が果たして露呈し、その後株価は急落の途についた。
2005年以降のA株チャートを見れば一目瞭然である。
キレイな上向き鋭角三角形した形で、株価が推移してきたわけだ。

金利引上げなどの経済過熱抑制策が効き過ぎたのか、不動産ばかりでなく、
資源関連産業においても需要減退により、現在、生産調整を強いられている。
世界の好景気に寄与した「中国発」の需要が大きく変わろうとしていると
世間の評論家が批評しているところである。
にわとりが先か、ひよこが先かは難しいところだが、欧米経済の鈍化も
中国輸出企業にマイナスに働き、広東省などの繊維産業が苦境に立たされている。

これらに対しては近く政策対応されてこよう。
既に銀行からの融資規制の緩和策もとられ始めている。
それらの資金源が有効に活用され、基幹産業の生産が再び活性化してくれば
「中国発」の需要が再び存在感を現わしてこよう。


                                 (大原 平)


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