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2009年05月12日

利権と賄賂の商習慣 INハノイ


社会主義国家ベトナム。その首都ハノイ。
若年人口増加、インフラ整備による成長期待はアジア各国の中でも大きい。
しかしながら、新興国でありがちな、
賄賂の横行と利権の作り方を学習しない事には、
ベトナムビジネスでの成長は難しい。
そこで、ハノイの商慣習や注意点をまとめてみたい。

当社では、現在ベトナム人事・総務マニュアルを作成中である。
その中で、重要ではあるが、文書にしにくい項目が、賄賂関連であった。
マニュアルから一部抜粋し、具体的な事例を挙げて説明したい。
なお、ハノイ近郊の情報を集めて作成中であり、
ベトナム全土や業界商慣習の全てを網羅しているわけでない事は
あらかじめご了承ください。

盆暮れ正月付け届け(賄賂ではないとの事)
 役所の担当者には毎年、付け届け(現金)は不可欠。

公安による音楽会チケット販売
 年数回、公安が音楽会に来てくださいと、事務所までやってくる。
 時には、チケット購入と共に足代を添える事も。
 日本でも付き合いを重視すると、支出せねばならぬ事もあるので、同様か??

公権力の乱用

 手続きをスムーズに
  役所では当たり前の事象。日本では考えられない事象に、日本人上司は
  自社担当者から報告を受け、事実関係を確認のため、役人とMTGするも、無視。
  自社担当者に言われた通りお金を払うと、次回からスムーズに事が進む。
 価値あるものを安く
  土地を安く払い下げ、ただで貰う等、ベトナムでは可能。
  例えば、某地方の前任者が中央政府の主要ポジションに。
  後任者は若く、任期が満期残っている。
  その一族も主要ポジションを独占しており、
  土地の払い下げ等で便宜を図る事が可能。
  残り任期が長いため諸々不安要素は少ない。
 仕事を貰う(便宜)
  日本と一緒。公共工事等がこれに当たる。
  その他、備品納入を一族の業者に指名入札させる等でも当然袖の下は発生。

社長秘書への賄賂
 何らかの権限を持つ者へのアポイントにも権限が発生。
 ポジションによって金額は違う。
 元社長秘書等を雇用すると、仕事は出来ないのに、大きな顔をして、
 羽振りが良いものがいる。そのような立場にいながら、何故次の会社に来たのか、
 いわく付きであることも考えられる。雇用の際には要注意。

人事担当者への賄賂
 某日系企業(数千人雇用)では、人事責任者が就業希望者から、
 1人当たり200~300万VND程度(1万円強)謝礼を受領。
 これは、給与の3か月分程度。
 この責任者は会社と相談の上、解雇。
 しかしながら会社は裁判や損害賠償請求せず。
 2-3年にマンション、一軒家、高級車等々が増えていったという。
 当然、会社からの給与だけで購入は出来ない。
 大きく人・物・金を動かすポジションには定期的な監視が不可欠であろう。

支払い
 高金利ベトナム。
 経理担当者が支払い済にし、自分の銀行口座へ資金を移動。
 最盛期には年20%もの金利が付いたため、支払いを遅らせる事=利益となる。
 公共事業等含め、支払の折、
 経理担当者と役所(企業)のTOP両者に付け届けは不可欠。

渡し方、渡す人
 賄賂は上のポジションにのみ渡す事が重要と思われがちであるが、そうとも言えない。
 例えば、各種ライセンス発行、窓口業務担当者の裁量により遅延や早める等可能である。
 また、上の者から下の者に“分け与える”という事がないため、各人に便宜を払って
 もらう必要がある。

まとめ
 日本でも、賄賂、接待の禁止等が法制化されているが、賄賂や便宜が消える事は
 100年後も無いだろう。いつも同じ結論に行き着くが、“郷に入りては郷に従え”
 有る程度は割り切って付き合ってゆくしかないだろう。
 しかしながら、日本のODAを日本企業が受託するために、
 ベトナム政府関係者への賄賂支払いは日本の税金の垂れ流しであり、国益に反する。
 日本の、そして日系企業の利益増大の為に有効な“付け届け”を実施すべく、
 その事例を学んでいただきたい。

(大木)

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