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2011年01月05日

2010年ベトナム経済を振り返る


2010年のベトナム経済に関する10大事件について、
下記のとおり記す。


1. ASEAN議長国としてイニシアチブを発揮
2010年、ベトナムはASEAN議長国として、
アジア地域の会議と国際会議において、
様々な分野で積極的な提案を行った。
アメリカ・ロシアは初の東アジア首脳会議(EAS)出席、
ASEAN諸国会議防衛大臣会合(ADMM+)は成功裡に行われ、
ASEANの平和、安全、海運自由化等の問題解決に向け、
協力していくことなどが話し合われた。
こうした外交活動を通して、
ベトナムの国際的立場は非常に高まってきている。

2. 輸出、工業分野の成長率好調
GDP、輸出、工業分野の成長率は、
2010年ベトナム経済の中でも、明るいものとなった。
国際経済の混乱が続く中、
国内GDP成長率は6.7%(目標6.5%を上回る)、
輸出総額は25.5%増(目標6%)、
工業生産総額は14%増となった。

3. インフレ・金高騰・VND引き下げ
インフレが高く上昇し、11.75%となった。
輸入超過総額は123.7億USDとなり、
中でも金価格が急上昇、世界相場をかなり上回ることとなった。
VNDは9.68%の引き下げとなり、
公式為替レートと自由市場の為替レートの差が、
1USD当たり2,000VNDに上る時期もあった。
マクロ経済の不安定は、国民、企業、経済全体に影響を与えることになる。
経済専門家によると、主な原因は、
金融政策の緩和、政府の経済支援対策の実施、
投資に頼る形の経済成長が、思ったような成果が上っていないこと、
などが挙げられるという。

4. Vinashinグループの巨額負債
Vinashinグループの、86兆VND(40億USD相当)の負債が明らかとなり、
国営企業の経営状況と経営能力に、
厳しい目が向けられることとなった。
Vinashinグループは、
2011年から2013年にかけて政府主導の組織改善計画を実施、
財務の建て直しを目指すことになっている。
ただこの計画には、まだ懸念も残されている。
特に、ベトナム政府や銀行、
企業の信用も、おおいに下がっている状況である。

5. 金利競争の激化
この3年で、銀行間の金利競争が最も激化している。
一時期、調達金利が年17%に達することもあった。
国家銀行の干渉により、金利は下がったが、
現在も高い状態が続いており、
二つの金利制度が、同時に適用される事件まで発生している。
これによって企業財務は最も大変な時期となっている。
2009年の4%の金利支援制度が適用された時期から、
2010年初に金利10%以上となり、
その後、年16~18%、20%の金利を負うことになった。

6. 自然災害による経済損失
長く続いた洪水により、ベトナム中部は大きな被害を受けた。
2020年までの天災防止計画が、2007年に認可されているものの、
現在までに、めぼしい成果は得られていない。
また更に、水力発電所が続々建設されており、
森林伐採などにより、洪水の規模が増大、
被害の拡大に繋がっている。
農業農村開発省の統計によると、
この10年間で、天災で毎年750人が死亡、行方不明になり、
資産の損失はGDPの1.5%を占めるという。

7. 電力不足 深刻化
電力不足が深刻な状況になっている。
これは乾季だけではなく、梅雨時期にも発生しているため、
生産計画に大きな狂いが出ており、人々の生活が苦しくなっている。
原因は、発電所の建設延期が続き、
需要に追いついていないこと、
更に電気料金が安いため、資金調達できない状況にあることなどである。
しかし一番の原因は、電気分野の開発計画が、
鉄生産分野、セメント生産分野の開発計画と
バランスが取れない状況になっており、
電気販売の独占権が、まだ存在していることなどである。

8. 南北高速鉄道建設計画
今年、南北高速鉄道建設計画は、国会で否決されたが、
その後、8月末に首相は、Hanoi・Vinh区間と、
Ho Chi Minh・Nha Trang区間の高速鉄道投資建設計画の実施に際して、
原則、日本政府のODA(技術協力)を借款することに合意した。

9. 韓国味の素の賠償問題
韓国の味の素生産会社-Vedanは、
Ba Ria-Vung Tau省、Dong Nai省、
Ho Chi Minh市の農民に対して、
水質汚染を理由として、約2,200億VNDの賠償を行った。

10. 規定の延期相次ぐ
規定の適用期間の延期が相次ぎ、施行日前の修正が相次いだ。
典型的な例は、口座経由の金売買中止の期限が2度延期され、
金融機関の安全活動確保に関する通達No.13が、
2010年10月1日より有効となる予定が、
2010年9月25日に通達No.19で変更された。
先日も、商業銀行の増資規定(資本金の3兆VND)実施期限が、
1年延期され、2011年末までとなった。
こうした延期が続くことで、企業は大きな影響を受けており、
政府政策をアップデートできない状況にある。



サイゴンエコノミックスタイムズ  2011年1月5日

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