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2011年09月05日

汚職の温床を撤廃せよ 国営企業改善案のゆくえ


以下は、今期ズン首相が提案した
国営企業改善政策に対する意見である。
首相の提案は、国営企業の組織改善の促進、
優遇政策の排除、透明性の改善、国有権限の改善である。


国営企業の改善を促進

今までに、国営企業の改善は、民営化させることで
大きく進展してきた。
現在、ベトナムの国営企業には、
単一所有の有限会社と株式会社の形式しか存在していない。
それによって、国営企業は
他の企業と同様、企業法に基づいて活動している。

ベトナムでは2015年までに、
ベトナム航空公社、ベトナム製紙公社、
ベトナム北部食糧公社、ベトナム化学公社、
ベトナムセメント公社などが民営化される予定である。
これらの大手企業は、2006年の政府決定で、
2007~2010年までの中に民営化される対象となっていたが、
今現在、まだ実行に移せていない状況である。

国有率100%を確保する必要のある分野を、
再度検討する必要がある。
分野別で支配比率を確定させ、
それによって国営企業の役割を明確化することができる。
例えば、電力分野の中では、国営企業が送電網を中心に管理し、
電気販売は民間企業に任せ、
2022年までに、競争力のある電気販売市場の実現を目指すべきである。

その他、金融機関ではない国営グループ
(石油、ガソリン、不動産)に属する銀行を別会社にする必要がある。
国家銀行が、付属銀行を通じての
親会社と子会社間の資金供給に関して、
厳しく規定する必要などがある。
各国営企業が自力で借入と返済を行えるようにさせるべきで、
国家銀行の借入保証制度は徹底的に撤廃することが必要だ。

優遇措置の廃止

簡単に土地使用権を取得できること、
銀行から資金を借入する際、担保が必要ないこと、
国家投資資金の大半を受け取れること、
返済期限の延期、
数種類の製品、サービスに対する独占権等、
優遇措置は今後、徹底的に排除されるべきである。

これらの優遇措置が長期的に適用されることで、
社会経済の発展に貢献することはなく、
汚職の温床となっている。

国営企業は、国の固定資産の70%、
社会全体の投資総額の20%、
国家投資総額の50%、
銀行借入の60%を占めている。
一方でGDPの約40%の資産しか作れない。
さらに、社会全体の9%労働者を雇用しているにとどまる。

長年、電化製品、自動車製造分野は、
政府から多大な加護を受けてきたが、
その成長は期待通りにはいっていない。
今まで、この分野は、外国から部品を輸入し、
国内市場で製品を販売する段階で止まっている。

実際、国内だけでなく海外市場でも高い競争力を誇る製品ほど、
優遇措置や、保護を受けられずにいるものが多い。
例えば、水産物、工芸、家具、靴、縫製等の製品である。
これらの製品の生産、販売活動の中では不正も少ない。

活動内容を明確に

国営企業の活動内容を明確化するため、
上場企業同様、定期的に企業の業績報告を行う必要がある。

定期的に会計検査済みの会計報告書を発表し、
四半期ごとに取締役会の活動を報告する。
株式の追加発行、配当、内部取引、支配人の変更等の情報も
事前に報告する必要がある。

監査委員も設置し、
規定に基づいて監査委員が役割、任務を実施する。

取締役会についても、大手企業が独立して会社活動を監査し、
場合によっては、支配人の権限を抑制し、
株主の権利を保護することも必要である。

監査体制の充実化を

現在、政府が国営企業の状況を監査する体制がないため、
効果の低い投資活動であっても、防止することができない。
Vinashin、財政会社(ALCII)、Agribank等は、典型的な例である。

ベトナムでは国営企業の監査体制が、
2003年付政府決定No.271で規定されている。
その中でも、企業の自己監査、株主の監査、
国家政府管理機関の監査等については言及している。

内部監査では、自己利益のために監査してしまうため、
企業監査が一番効果的ではあるが、
実際、企業の業績が発表されることは少なく、
正しい情報も公開されないため、
株主監査、政府管理機関の監査は、大きく制限されている。



サイゴンエコノミックスタイムズ  2011年9月4日

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