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2012年09月04日

ベトナムの税金・手数料は、アジアの3倍!?


国会経済委員会は「2012年マクロ経済報告書」のなかで、
山積する課題をいくつも挙げている。
その中では、マクロ経済の不安定、
対越外国投資資金の減少、公的支出の無効果等の問題にも言及している。


支出抑制を呼びかけるも、政府消費の増加続く

2011年政府は、インフレ抑制を優先させるため、
年度予算の支出制限を呼びかけた。
しかし実際には、政府消費は約4%増加という結果になった。
報告書には、「 この20年で、ベトナムは
政府中心管理経済から市場経済に変化している。
しかしベトナム政府の消費規模はまだ急速増加を続けており、
1990年の比GDPの約22%から2010年には、
比GDPの30%になった。」と掲載されている。

多額の税金経費を負担する国民

個人の所得税制度を見ると、
ベトナムの場合、所得が中国人やタイ人より少ないにも関わらず、税率は高い。
年収3,451~5,175 USDの場合、ベトナムの所得税率は10%だが、
タイでは年収4,931~16,434 USD、
中国では年収 3,801~9,500 USDで初めて
所得税が課せられることになっている。

企業の所得税についても、
ベトナムでは一般的に税率25%を適用しているが、
他の国では企業によって、2%~30%の税金制度を適用している。

他にもベトナムには、他国に比べて高い税金制度を適用しているものがある。
例えば、特別消費税と輸入税などがそうだ。
しかもベトナムの場合、企業は表に出ない経費が
多額にかかることがある。
賄賂等も常習化した経費の1つだ。
最近の研究結果では、調査対象となった企業の56%が、
国のプロジェクトに入札する場合、
コミッションを払うことを、当然のこととして受け止めているという。

さらに、ベトナムでは比GDPの税金比率が高過ぎるため、
民間経済セクターの資産作りと投資能力が制限されている。
また、脱税も増える。
例えば、FDI企業が資材の仕入れ単価と製品の販売単価を
上げ下げしていたことがある。
FDIセクターはGDPの約20%を占めているが、
国家収入には約10%しか貢献していない。
ベトナムの税金制度はアジアの他国より高いため、
FDI企業は他国に利益を送る傾向がある。

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<ベトナムと他国の比GDPの税金・手数料比率>
(単位:%、左からインド、インドネシア、タイ、中国、ベトナム)

他のアジア諸国より1.4~3倍高い、ベトナム税金&手数料

財務省国家予算の決算に基づき、
国会経済委員会は以下の統計を報告書した。

2007年~2011年にかけて、国家予算の収入はGDPの29%となった。
税金と手数料からの収入がGDPの26.3%を占めている。
ベトナム国家経済大学公的政策研究院院長-Pham The Anh氏によると、
原油からの収入を除いた場合の、税金と手数料からの収入は、
「他のアジア諸国と比べても高すぎる」という。
具体的には、比GDPの税金・手数料の比率は、
中国 17.3%、タイとマレーシア 15.5%、
フィリピン 13%、インドネシア 12.1%、インド 7.8%となっている。

また、年10%の「インフレ税金」を担うことの他、
二重税金制度、三重税金制度などにより、
ベトナムでは、他のアジア諸国より、
比GDPの税金・手数料を1.3~3倍支払わなければならない状況であるという。

特に、ベトナムの税金納入には、
主に付加価値税、企業所得税、
輸入商品に対する輸入税と特別消費税がある。
ただ、企業所得税の割合は徐々に減少する傾向にある。
2006~2008年の36%から、
2009~2011年には28%に減じた。
国家収入が輸入税と特別消費税 に大きく依存することにより、
ベトナム国家予算の超過支出状況は、更に深刻になっている。
特に、WTO加盟条件を実行した場合、
今後、ベトナムは輸入税を削減しなくてはならない。

その他、現在国家予算にとって重要な収入源は、
国有不動産の売却と、国有土地の使用権変更の
二つとなっている。

増加を続ける 国家予算支出

Pham The Anh氏は、
「国営企業は安全保障、国防、教育、医療等の公益分野から、
 精製工業、鉱山採掘、芸術、エンターテイメント等の分野など
 多岐にわたって投資を行っている。
 特に、不動産、財政、銀行、建設、宿泊サービス等の分野への
 投資額の割合は、2006年の1.9%から
 2010年には4.8%に拡大されている。」話している。

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<年別国家予算の支出比率> (単位:%)

また、国家予算の通常支出
(公務員給与、オフィス賃借料、光熱費等)の割合が大きい一方で、
投資開発の支出割合は、一応減少傾向にある。
しかし通常の国家予算支出は、
2003年の63.2%から2010年には71.7%、
2011年の75.4%と増加を続けている。
つまり、ベトナム政府の行政機関が、大きすぎるということなのだ。

2010~2011年の2年で、
ベトナム政府は国内の110兆VNDの国債発行を行っている。
この数字は2007~2009年の2年間の借金56兆VNDの
2倍という大きさである。



InfoTV.net  2012年9月4日

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