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2011年09月08日

ベトナムの土地と家屋の値段が世界一のわけ


ハノイ市民の年間所得は一人当たり平均3,700万VND(1,850USD相当)で、
ドイツのベルリン市民と比べると25.3倍も低い。ただ、ベルリン市では
中級クラスのマンションでも1平米当たり1,000USDの価格で購入できるが、
ハノイ市に同様の価格で買えるマンションは存在しない。


世界レベルで見ると何年貯金すれば家を買えるか?

ロシアで最も有名な不動産コンサルティング会社が世界36都市と5大陸の
所得および家の購入能力に関する調査結果を発表した。この調査の基準は
郊外に70平米のマンションを購入する経済能力である。

調査結果によれば最も早く家を買うことができるのはドイツのベルリン市民で、
貯金開始から3年以内だった。ベルリンの不動産は世界一安く、1平米当たり
1,000USDで市民の所得は一人当たり平均で年間4万4,600USDである。

アメリカのニューヨークではマンション購入に5.7年かかるという結果だった。
カナダのモントリオールは5.2年、タイのバンコクでは7年かかる。
これらの国の不動産はベトナムの数倍も低い価格で販売されており、1平米で
500USDとなっている。また、富裕国の日本は人民の平均所得が非常に高いが、
消費も大きいため、家の購入に16年もかかる。さらに香港と韓国のソウルは
約20年という結果だった。

この調査で注意すべきは、これらの家に投資するための資金となるのが月収の
一部だということだ。アメリカ、ドイツ、日本等の先進国は所得も高いが、
消費も大きいため、貯蓄は20%がやっとである。これはベトナムの状況とは
全く逆であり、ベトナム人は所得の大部分を貯金する。

ベトナムでは給与を貯金しても家の購入は不可能

調査の結果にはベトナムにおける所得と貯金のデータが記載されていない。
しかし、一般公務員の給与は月250万 VND(120USD相当)しかないため、
生活費をカーバーすることも難しく、貯蓄率は0%の状況である。

上流階級の資産家や政府要人の給与額664万VND(330USD相当)は計算上で
毎月300万VNDを貯蓄できる。年間では3,600万VND(1,800USD相当)を
貯金にまわせる計算だ。最も低価格なマンションが1平米1,200万VNDで
販売されているので、70平米のマンションを買うためには8億4,000万VNDを
貯金しなくてはならず、ベトナムの資産家や政府要人が家を買うためには
23.3年かかることになる。

これは一番安いマンションの価格であり、一般のマンションは70平米で
販売価格は20億VND(10万USD相当)という超高級な物件だ。

ただし、10年~20年が経過するとVNDと家の販売価格も大きく変わることが
予想されるため、これから先の事については何とも言えない。

国連の計算によると、格安マンションの販売価格は年間所得の3~4倍という額が
合理的とされている。しかし、ベトナムでは24.5~26.6倍と高く、世界の平均と
比較すると6~8倍も高価である。マンション価格/人民の年間平均所得に関する
国連の集計では、南アジアが6.25倍、東アジアは4.14倍となっている。
最も貧しいと言われているアフリカは2.21倍で世界一低い。ヨーロッパ、中東諸国、
北アメリカが6.25倍、ラテンアメリカとカリブは2.38倍である。

つまり、低所得者は家を購入できないのだ。ハノイ市民が給与で家を買えないのも
道理というものかも知れない。

なぜ高い?ベトナムの家

ベトナム政府は住居問題を解決するために、社会的な住宅政策を実施している。
格安の家屋に対する需要が大き過ぎるので、供給源はまだまだ対応できていない。
最近の10年間では、改築・新築を含めて約7億600万平米の家屋がベトナム全国で
開発された。そのうち住宅計画で建設された家の面積が、8,500万平米以上となり
(主に都会エリア)、自分で建てた家の面積は約6万2,100万平米で、年間平均では
7,000万平米の家が建てられている。家の販売価格が上昇して複雑に変動することは
ベトナム経済が挑戦しなければならない大きな問題である。また、低所得者への
宿泊問題も大きいな位置を占めている。

ハノイ市のような大都会における住宅の価格は、所得や不動産の持つ実際の価値を
はるかに超えている。長期にわたる不動産投資は大きな利益が得られるため、価格は
どうでも家や土地に投資したいという考えは自然であり、そういう観点を持つ人も
たくさんいるため、ハノイ市では土地と家屋の購入者が多く、宿泊用の場所として
扱う人はごく一部で、残りは登記や子供への将来的な財産として確保している。
このような状況下で、使われていない別荘やマンションは多く、所有者が別の家に
居住しているというのがハノイ市の不動産事情である。

財政システム上で土地政策と土地財政政策も統一されていないことが不動産市場に
大きく影響を与え、管理しにくい現状を作り出している。土地法、不動産営業法は
何度も修正されたが市場の変動に追いつけず、違反に対する処罰制度も不足していて
弱点となっている。

ハノイの地価はロンドンを超えるか?

米The Independent誌に掲載されたKnight Frank とCiti Private Bank による
共同調査の研究結果では、現在、ロンドンの土地は1平米4万9,200USDであり、
ニューヨークが1平米3万4,200USDとなっている。
アジアで地価が最も高い場所は香港で1平米2万6,300USD、その次が東京の
1平米2万3,500USDである。

この価格は平均価格であり、調査研究の結果はベトナムの地価を分析していないが
実際には、ハノイ市とホーチミン市でロンドン、ニューヨーク、東京の土地より
高額で販売された土地が存在した。


Vneconomy.net 2011年9月8日

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