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2011年11月03日

頭痛の種は需要を超える供給 ~ベトナムバイク産業の今~


ベトナムバイク産業の急速な成長に対して懸念が持たれている。
今後、ベトナムのバイク産業は困難な問題に直面しなければならない。


企業間の競争が生産規模を拡大

統計総局のデータによると、年初の10ヶ月でベトナム現地において生産された
バイクの台数は337万台を超え、前年同期と比較して20.2%の増となった。

現地の生産台数は2011年10月だけで39万8,800台に達し、2010年10月より
25.6%の増加となっている。9月末の時点ではベトナムバイク工場全体が
297万台を出荷した。

これによってベトナムバイク産業の成長率は大きな増加を示し、今年10月の成長率は
9月と比べて7.5%増で、前年の同期より24%の増加を記録した。10月末の時点では
前年同期より19.9%増となっている。

ただし、生産成長率は大きく増加したが、バイクの販売業績は18%にとどまっている。
統計総局によれば、2011年10月1日の時点でバイク産業の在庫比率は前年同期より
49.5%増加している。

ベトナムバイク産業とバイク市場の変動もこの傾向をよく表している。最近の1年間で
多くのバイク生産企業が投資規模の拡大を続け、生産能力を上げている。
以下は大規模なマーケットシェアを占める典型的な例を分析してみたものである。

まず、ホンダである。2010年はホンダがベトナムバイク市場の50%のシェアを占め、
工場の規模を拡大するために7,000万USDを追加投資し、Vinh Phuc省に置かれた
二つの工場で生産能力を年間150万台から200万台にアップした。ホンダは1年後、
Ha Nam省Dong Van 2工業団地に第3工場を建設し、投資総額を1.2億US超に上げ、
三つの工場で生産能力を年間250万台にアップさせた。

ヤマハも工場拡大で3,000万USDを追加投資し、生産能力を年間150万台に上げた。

若者受けするデザインを持つPiaggioベトナムは、今年4月にVinh Phuc省で
工場を拡大し、生産能力を年間30万台に上げる予定である。また、このイタリアの
バイクメーカーはアジア本部をシンガポールからベトナムに移す計画を発表しており、
Piaggioベトナムはアジア地域におけるPiaggioの拠点となり、生産と輸出活動を
中心に行うことが予定されている。

このように現状では規模が拡大される工場や新たに建設される工場は、まだ工事中だが、
バイクの生産能力は大幅に拡大された。しかし、ベトナムバイク市場の成長は徐々に
鈍化している。

統計総局のデータによると、現時点ではバイクが余る状況が発生している。
また、2012年末から新たに整備された工場や規模が拡大された工場が活動を開始すると、
需給とのバランス崩壊が現実化する。

試算してみると、バイクの生産能力はホンダの年間250万台+ヤマハの150万台に加え
Piaggioの30万台+SYMの30万台、そしてスズキの20万台+他の会社の10万台として
ベトナムで年間約500万台の生産となる。

このように生産規模は大幅に拡大されるが、市場における需要は2009年に約275台、
2010年に300万台、2011年の約330万台という状況である。

近づく市場飽和

最も懸念されることはベトナムのバイク市場が予想より早く飽和状態になることだ。

例えば、商工省は2020年に全国で流通するバイクの数が3350万台に達することと、
人口の約9,960万人到達、ベトナムでのバイク使用比率は2.97人/1台と予測した。
タイでは2.9人/1台の比率に達し、市場飽和が起こった。
また、 (JSPS日本国家政策研究学院)の大野健一教授は、ベトナムにおけるバイクの
流通台数が3,000万台に達すると、市場が飽和状態になると予測している。
この計算上でベトナムバイク市場が飽和状態となる時期は2017年~2020年である。

だが、ベトナム交通省の統計によると、2011年8月の時点で登録バイクの台数は
3,340万台に達した。実際上は現時点でベトナムバイク市場が飽和状態となっている。

ここで発生する問題は、市場が飽和状態となっているにも関わらず供給源が急増すると、
バイク産業の今後がどのようになるかということである。

また、大都市における交通渋滞を改善するため、ベトナム政府は先頃ハノイ市及び
ホーチミン市など、都心部でのバイク流行禁止計画を作成している。

CafeF.vn 2011年11月3日

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