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2009年03月03日

09年2月 ベトナム経済状況と課題


低迷続くも他国に比べて被害は小さい

アメリカを震源地とする世界的な経済危機の影響は、
当然ベトナムにも及んでいる。
1月のベトナムマクロ経済は、全般的に悪化。
特に輸出入については、今後更なる深刻化が予想されている。
1月の輸出 前年比24%減
     輸入 前年比45%減

鉄工分野でも、世界的な鉄価格の急騰に加え、
建設現場での需要が3分の1まで下がり、
経済活動の根幹への打撃の大きさを表している。
 鉱工業生産 前年比4%減

また、FDI認可額は前年比88%減のほか、
在外ベトナム人の送金も減少に歯止めがかからない。
テト休暇が1月にあった(昨年は2月だった)ことを除いても、
経済の停滞振りは深刻である。
 
しかしながら、農作物や一次産品等も主力輸出品の同国では
周辺他国の損害に比べると、比較的小さい。


経済対策

 ベトナム政府は、
  1、公定歩合の引き下げ
  2、預金準備率の引き下げ
  3、借り入れ金利助成
等により、一般企業の資金調達難に歯止めをかけようとしている。
しかしながら、追加経済政策を打ち出すことは困難であり、
世界不況の影響はこれからやってくると考えられる。

今後、政府に望まれるのは、以下。
 1、政府財源の確保(国債等発行)
  2、インフレ対策
  3、通貨防衛
 であるが、舵取りは難しい。


明るい兆しも

日本がODA再開を正式に発表。
スイスはODA公約額を20%増額した。
 GDP約700億USDのベトナムにとって、
9億USDの日本ODAが与えるインパクトは非常に大きい。
日本はODAの位置づけを明確に
世界的不景気で各国経済が縮小する中、
今回の日本のODA再開は、現地の新聞各紙にも取り上げられ、
非常に歓迎されている。
ベトナムは豊かな資源国である一方、
資金不足から、流通などインフラ未整備のため、
未開発の状態に留まっている部分が大きいのが現状だ。

中国の輸出規制により、世界的なレアメタル不足が加速する中、
日本が今後も経済発展(地盤沈下防止)を続けるためにも、
ベトナムと友好な関係を築いてゆくことは重要である。


ベトナム発展の課題(1) 明確な国家成長戦略

景気低迷期、企業は事業の選択と集中を要求される。
政府が金利助成したところで、一時的なものでしかなく、
ベトナムは、この不況を乗り切るため、国策としてどの分野に
その資源を集中させていくのか、国家戦略の
集中と選択が待たれている。


ベトナム発展の課題(2) 教育

安価な人件費を武器に、急成長を遂げてきたベトナム。
しかし、長期的な成長を続けるには、不安要素も大きい。
まず、高度な専門知識を身につけるための高等教育機関が
圧倒的に不足していること、
ビジネススクール等、キャリアアップの場も狭小であること、
企業の対GDP比研究開発投資額などは、韓国やシンガポール、
マレーシアなどと比べても、かなり低い数値となっている。
自国の発展を支える人材力の強化は、
ベトナムにとっての大きな課題の1つである。



(森口)

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