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2009年01月07日

08年 ベトナム証券市場の10の話題


ベトナム証券市場が活動を開始して8年。
その歴史の中で
2008年ほど大きなプレッシャーが受けた年はない。
年初より、証券市場は国内マクロ経済の政策変更の
後半は国際的金融危機による大きな影響を受けた。
市場の暴落で多くの投資家が損失を被ったが、
経験を得た側面も非常に大きい。
これは、ベトナム証券市場の将来の
安定的な発展への基盤となるのではなかろうか。


1)VN Index 初の年間70%下落
2008年は
ベトナム証券市場8年の歴史の中で
最悪の年であった。
VN-IndexとHASTC-Indexは暴落し、
VN-Indexは2008年12月10日にマークした
286.85ポイントが最低指数であった。
HASTC-Indexも同様で
年初より65.73%下落し、
最低指数は11月27日にマークした、
97.61ポイントであった。
ベトナム証券市場の下落の原因は
内外のマクロ経済状況といった客観的要素のほか、
この2年間における急激過ぎた発展も挙げられる。
このため、ベトナム証券市場の下落は
アジア地域や国際市場の中で最も大きなものであった。

2)国家証券委員会 4回にわたり証券変動幅を調整
国家証券委員会は2008年3月27日に
HOSEの変動幅を+/-5% から+/-1%に、
HASTCの変動幅を+/-10% から+/-2%に
それぞれ下げた。
この国家証券委員会の動きの原因は
証券投資に対する銀行の資金貸出に関する
国家銀行の決定No.03が発行された後に
証券担保契約が一斉に解約されたことに端を発した
株価暴落によるものである。
国家証券委員会は、
投資家心理を安定させるため、変動幅を下げたものの、
市場の重要要素である流動性の低下を招き、
投資家心理の冷え込みを助長した。
その後、国家証券委員会は
HOSEとHASTCの変動幅を
4月7日にそれぞれ+/-2% と+/-3%に
6月19日に+/-3%と+/-4%に相次いで上げ、
さらに8月18日に+/-5%と+/-7%へと、
3回連続で拡大調整し、現在まで維持している。
このように2008年は証券市場8年間の活動中で
変動幅が最も多く調整された年となった。

3)証券投資活動への所得税課税
2008年12月27日、
国会常務委員会の年末会議が終了したが、
投資家らの一番の関心である
「証券投資活動に対する所得税の延期」は
最終決定がされていない。
このため、
2009年1月1日よりの所得税課税が有効となり、
証券市場で売買している投資家の
所得税納入が必要となる。
ただ、各証券会社においては、
税金徴収に関する具体的な情報はない。
証券市場暴落の背景下での課税は、
投資家の心理的圧迫は大きく
2009年の証券売買にも影響が懸念される。

4) PVNグループ Hong Viet銀行設立計画中止
2008年7月10日、ベトナム石油グループ(PVN)は
首相にHong Viet銀行(石油銀行)への出資中止を報告した。
この情報は投資家業界に大きな衝撃を与えた。
投資家名簿によると、
Hong Viet銀行の株主は個人投資家4万以上、
機関投資家が約20である。
2006年末から2007年初までの「証券ブーム」の最中、
Hong Viet銀行の株式購入権が、
未上場市場で積極的に取引された。
PVNがHong Viet銀行への出資中止は
ベトナム国営会社、国営企業の金融投資動向を停滞させた。

5)BBT事件:会計検査に対する警告
Bong Bach Tuyet株式会社のBBT銘柄は
2008年7月11日に、
2年連続の赤字と倒産状況であることを理由に
取引を停止された。
ここで最も重大な問題は
会計検査の甘さが原因で、
BBTの赤字が
2008年にしか明らかにされなかったことだ。
BBTは、実際には赤字であったが、
会計報告書上は黒字とされていたことが
2008年になり確認された。
これに対して、会計検査活動の透明性と
上場企業の情報公開の状況について警告がなされた。
この事件により、2008年は、
上場企業および公衆会社の会計に関しての違反で
資格が剥奪された会計検査員が初めて出て年となった。

6)Vietinbank IPO初値2万ドン
2008年12月25日、
Vietinbankの落札平均株価は20,265ドンで、
この数値が国営大企業のIPO株価の目安となった。
結果、同社のIPOの開始株価は20,000ドンであった。
この株価は1年前に行われた
VietcombankのIPOの開始株価や、
Vietinbankの開始予定株価の1/5でしかない。
VietinbankのIPOは2008年中に行われた
国営大企業(Sabeco、Habeco)のIPOと比べると、
民営化の目的に関して
企業や政府管理機関の認識 が大きく変わった。
また、証券市場の暴落の影響も受け
2008年の民営化活動や企業への増資発行は
失敗であったとなった年である。
国家証券委員会の統計によると、
2008年の証券市場からの調達資金は10兆ドンを切り、
2007年の6分の1しかない。

7)証券、ファンド管理会社の設立申請書類の受理中止
国家証券委員会は、2008年4月28日より
証券会社、ファンド管理会社の設立申請に関して
書類の受理を中止したことを知らせた。
国家証券委員会の資料によると、
4月までに87社の証券会社と
30社のファンド管理会社に対して設立許可を発給した。
2008年12月末時点の証券会社数が102社で、
その中、24社が、4月28日までに設立申請を行い、
2008年中に設立許可を発給された会社である。
一方、市場は暴落し、「パイ」の大きさは、
数が多くなった証券会社にとって小さすぎる。
そのため、多くの証券会社が倒産状況になっている。
8年間活動を行ってきたAsean証券会社は
今年始めて、会社解体について協議した。
これは証券市場の下落による影響の一つの例である。

8) 10月1日より投資家との別口座制開始 各証券会社
2008年10月1日以降
証券会社は、投資家の口座と自社の口座とを
別々に管理する必要である。
各証券会社は、銀行に投資家の口座管理を委任するが、
どのような形で管理するかは、
銀行・証券会社間で取り決める形となる。
投資家口座の別枠管理は、
各証券会社の営業・サービス活動の透明性や、
投資家の資産の安全性を確保するための対策である。
特に、多くの証券会社が倒産状況に追い込まれるこの時期には
必要な対策である。
ただ、国家証券委員会の報告によると、
現時点において、国家証券委員会の指導に沿っているのは
まだ77社だという。

9)未上場市場に関する法的整備なされる
2008年11月20日、財務省は
HASTCにおける未上場公衆会社の
証券取引(UPCom)に関する管理規定を発行した。
これにより、証券法が有効になる2年後に向けた
未上場市場に関する法律面が整備されたこととなる。
未上場市場( UPCoM)のスタートは
自由売買市場を段階的に縮小し、
証券取引に関する透明性、公開性、安全性を高めると期待される。
ただ、管理機関は慎重な姿勢を示しており、
現在のOTC取引の状況と比べて
UPCoM市場の規定は非常に厳しい。
このため、上場登録企業、投資家らが
UPCoMに魅力を感じない恐れもある。

10)国債取引 HASTCに移行
国債の発行・取引活動が
2008年7月1日よりHASTCへ移行した。
現在、HASTCでは400種類の債券が取引され、
管理機関は、
HASTCでの債券専用取引市場充実に力を入れている。
2008年は債券市場が活発となった年であり、
重要な位置づけであるが、
ベトナム資本市場での注目度は充分とはいえない。
国内マクロ経済の停滞により、
外国投資家が2008年6月に約6兆ドンという
記録的な数の債券を売却した。
割引金利も年20%と記録的な数値である。
外国投資家の大量売却に反して、
強気に買いに回った(主にベトナム銀行)側は、
2008年に大きな利益を得た。


証券投資紙 2009年1月7日


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