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2009年05月04日

「暴風雨」に見舞われる在越外国企業


この困難な時期において、
外国企業はベトナムでどのように活動しているか。
以下は、ベトナムの外国企業業界の見解である。


危機を回避できない
Lee Chang Keun-ホーチミン市韓国商工所名誉会長は、
現在、ベトナムで活動している1,500社のうち
500社が重大な危機に直面、
100社が「生き残れない」状況にあるという。
一方、残り1000社のうち200社は平常に活動し、
経済危機の影響を受けていないとしている。

業種別では、ショッピング、電気製品、
電子製品分野の企業は影響が少なく、
繊維、バッグ等の分野は、困難な時期を経てきた。

ここ数年、韓国はベトナムに対して
大きく投資する国の一つであり、
実施額についても上位に位置する。
ただ、Lee Chang Keun会長によれば、
今年はこの順位が下がる可能性があるという。

その理由として、
1000万~数十億USD規模の投資資金を持つ韓国企業は
全体の20%を占めており、
残りの80%は数百万USD程度の資本金しか持たない。
しかも、これらの小規模企業は、
主に繊維分野、バッグの加工分野に属しており、
経済衰退により大きな影響を受けたことを挙げる。

さらに、ベトナムにおける韓国最大の投資家である
PoscoとKumhoは、
国際経済衰退の影響から投資案件の数を減らしている。

また、Dhananjay Kumar-在ベトナムインド商工会会長は、
この2年間で、TataとEssaの大投資案件により
ベトナムへのインドからの投資は急速に増加した。
従来、ベトナムに進出したインドの企業は
約7~8社であったが、現在、
ベトナムで商業サービスを行っている会社は
75社~80社に上る。

しかし、Kumar氏によると、
Essaはベトナムでの数億USDの鉄鋼関連の案件に関して
中止もしくは規模を縮小する予定であり、
また、ほかの企業も、銀行から資金が借り入れできないため、
ベトナムでの営業計画を縮小する予定もあるとする。

Patrick Downey-在越オーストラリア商工会ホーチミン支店副会長は
「鉄鋼関連企業にとって今が最も困難な時期である」と述べた。
現在、ベトナムで鉄鋼分野に投資しているオーストラリアの大企業は
Binh Duong省のBlueScope Steel とHai Phong市のAusteelである。

影響を余り受けていない分野
Downey氏はベトナムに19年間滞在しており
国際経済危機は、ベトナムでは主に、
繊維、靴等の生産分野に影響を与えるとしている。
だが、ベトナムで活動する
100社ほどのオーストラリア企業は、
主に銀行、法律、鉱山開拓分野で活動し、
生産、加工分野の企業は数社程度である。

また、Downey氏は
「現在、各オーストラリア企業は大変繁忙で、
将来の発展を信じている」と述べた。
そして、教育分野は、
オーストラリアにとって最も成果のある投資分野で
多くの教育機関が形成され、
その代表例としてRMIT大学を挙げている。

Patrick Wolfe-在ベトナムカナダ商工会(Cancham)会長も、
ベトナムの教育分野への投資はかなり増加し、
カナダ教育センター (CEC)の設立は、
ベトナムの若年層に対する教育を支援しているとしている。

だが、国際経済危機の影響より、
ベトナムへの外国から投資は減少傾向にある。
Lee Chang Keun氏によると、
ベトナムへ投資する韓国企業は減っており、
2008年には約200社がベトナムに進出したが、
投資目的でベトナムを視察に訪れた企業は、
今年は約50社しかないという。

だが、在ベトナムの各国の商工会代表者によると、
ベトナムはアジア地域で
国際金融危機の影響が最も 小さく、
外国企業はベトナム市場の発展潜在力に期待し、
近い将来にまた戻ってくるという。

ベトナムはチャンスに満ちた市場であり、
現在の外国投資の減少は、一時的な問題である。

ベトナムでの活動 メリットとデメリット
Patrick Wolfe-カナダ商工会社長は
「韓国、日本に投資している外国企業は
もっと大きな影響を受けている」とし、
地代や人件費の問題により、
拠点を中国からベトナムにシフトするカナダ企業は
段々と多くなっていると述べている。

また、Patrick Downeyも、
「ベトナムへの投資は、アジアのほかの地域より
経済危機による影響が少ない」と述べ、
Lee Chang Keun氏も、ベトナムの投資環境は、
タイ、マレーシア、インドネシアより競争力が高く、
ベトナムへ投資する傾向に変わりつつあるとしている。

インドの企業は、ベトナムはアジア地域で
ソフトウェア分野に強い国と判断、
また、Dhananjay Kumar氏は、
「ベトナムで小売販売は急速に発展するので、
今後、われわれがベトナムでチェーン店を展開することも可能」
と述べている

さらに、Downey氏によると、
オーストラリアの企業は、
ベトナムの不動産市場に対して高い関心を示す。
ただ、インフラ整備が弱いことと、
不動産に関する規定にさまざまな問題点があるため、
オーストラリアの不動産市場は
投資の計画を再検討しているという。

これについて、Wolfe氏も、
ベトナムはインフラ整備をもっと改善するべきで、
「アジア地域の各国では、
道路、地下鉄、高速鉄道が整備されているが、
ベトナムではこれらの施設がまだ少ない。
観光はベトナムの主力分野であるが、
現在、ホテル、サービスの分野に対し
参加するカナダ企業がまだ少ない」と述べた。



サイゴンエコノミックスタイムズ 2009年5月4日

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