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2009年09月23日

アジア経済脱欧米化理論は、実現可能か


2008年9月まで、分離理論(decoupling)について活発な論議が行われていた。
これは、アジア新興国が西洋の金融システム破綻に接しても、
大きな影響を受けないということである。
アジア経済の発展は、西洋先進国経済の「健康状況」に
影響されないことを指している。


分離理論によると、新興国の経済は、国内市場が強く、
外貨準備資金も多分にあり、素晴らしいマクロ経済政策により、
アメリカ、ヨーロッパに吹き荒れる経済台風を避けることができるという。

しかし、2008年9月ニューヨークを震源とした金融危機が、
国際金融システム全体に影響を及ぼし、
アジア新興国経済にもその波が襲い、分離理論は破られた。

ただ、現在に至って分離理論がまた戻りつつある。
5月にEconomist紙が「分離理論2号」の誕生を確認した。
それによると、中国を始め、大規模の新興経済は急速に回復する一方で、
アメリカ、日本、ヨーロッパは、まだ長く
経済衰退に直面し続けることになるという。

これに触発されてか、多く積極的な経済情報が出てきている。
特に、アジアの新興経済からの情報である。
曰く、この地域の経済回復は、
西洋経済の「健康状態」に付随しなくなるというのだ。

「分離」とは合理的か

経済分離理論は、新興経済がG7各国の発展を
上回ることのみを指しているわけではない。
新興経済が先進経済大国の発展周期に付随しないことを指す。
それは、現在のアジア経済の状況に果たして合っているだろうか。

国際経済危機が発生する前も、世界経済の構造は大きく変わってきていたが、
今回の危機後の再構築の方が更に積極的に行われている。
しかしアジア新興経済が、西洋市場の影響を乗り越えたと判断するのは、
まだ早すぎる。これついては、以下の4つの理由がある。

①アジア経済全体を見れば、今回の国際経済危機による金融分野での損失は、
小さいものではない。ただ、この損失自体は欧米よりも少ない。

従って、アジア経済は欧米に比べて早期に回復する、といえる。
ただ、アジア経済が早期に成長することが、
西洋経済に付随しないこととは言えない。
特に、経済回復の信号はアジアだけではなく、
世界全体で発信されつつあるからだ。

世界の最大輸出国であるドイツは、
国際貿易の悪化により、大きな損失を被ったが、
現在、技術面によるカバーがあって衰退期を乗り越え、
2009年第2四半期からはプラス成長に転じている。

②この数ヶ月、国際経済は次第に安定してきており、
営業環境も以前と違って不安定さが少なくなった。
ただ現時点で、アジアを含む他の地域が、
経済危機を乗り越えたと発表のはまだ早すぎる。

欧米経済の回復が期待されているものの、
金融分野での問題は、まだ直ぐには解決できない状況である。

西洋経済に対する新「ショック」は、
アジア経済の全面的な回復に影響を及ぼす危険がある。
アジア証券市場は、やはりアメリカ経済の状況によって変動する。
従って、アジアでの証券投資業界はアメリカ経済の状況をよく見る。

③アジア各国の政府は、経済安定のための需要引き上げ対策について、
一定の実施能力を現した。

この面について、中国は5,850億ドルの経済対策を行い、先鋒国となっている。
しかし、アジア経済は引き上げ対策を軽減させ、
より安定的に回復することが、可能だろうか。
また、資金貸出活動が促進されると、銀行負債が増加する可能性も高い。

④東アジアの他の新興経済は、USDを通じアメリカ経済と綿密に関係している。

アジア各国の通貨がアメリカUSDと緊密に関係すると、
金融政策の独立性が制限されることに繋がる。
これらの国の金融政策は、アメリカのFED政策にも影響を与える。
この付随関係を解決しないと、
アジア経済とアメリカ経済の分離は、まだまだ机上の空論である。

ただ、アジア経済、特に東アジア各国の経済の発展周期は、
お互いに密接に関係している。
実際の関係や財政関係は強化されている。
実際、東アジアの幅広い商業・生産ネットワークの開発は、
EUと同様に統一の経済地域を形成している。

アジアの消費市場の開発、アジア地域内の経済活動の促進は、
アジア経済が西洋やアメリカ経済への付随状態を、軽減させることにもなる。
特に、USDへの系統を徐々に減らしていくには、
アジア地域内のマクロ経済や財政協力を強化することに対する
努力が不可欠である。

つまり、「分離理論2号」は形成されてはいるが、
実現にはまだ遠いのである。



Vneconomy.net 2009年9月21日

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