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2008年06月02日

ベトナム証券市場に 回復の見込みはあるか?


Reuter誌に掲載された
Chen Shiyin氏とNguyen Dieu Tu Uyen氏の
ベトナム証券市場に関する記事によると、
現在のベトナム市場を「最悪」としながらも、
シンガポールのLGT Capital Management等の外国機関投資家が、
長期投資のために、引き続き株式を購入しており、
「この市場はまだ発展の初期段階で、力強くスタートしたばかりだ。
今は苦戦を強いられているが、早期に回復するだろう」と評価した。

ホーチミン証券取引所は
コンピューター故障のため、3日間取引を停止したが、
30日より活動を再開。
ただ、ベトナム証券市場の下落は、他国と比較しても最も早く、
市場の回復までには、まだ時間がかかるとの見解だ。

VnIndexは、年初より55%下げ、
物価は1992年以来最も高くなった。
アメリカの投資銀行Morgan Stanleyによると、
現在ベトナムは「金融危機」に直面しており、
格付機関Fitch Ratingsは、この国の発展展望を低く評価している。

29日、HOSEはシステム障害の回復を公表した。
27日から29日までの3日間の取引停止となったが、
これにより2003年10月以来最長となったVnIndexの下落に
いったん終止符が打たれた。

現在、20億ドルの財産を管理している
Dragon Capital Group投資ファンド(本部:ホーチミン市)代表取締役社長
-John Shrimptonは
「株式売却が続き、インフレが株価の下落の一因となっている。
実際の市場より楽観的な見方が強すぎた」とした。

2000年に誕生したVnIndexは、
最も早いスピードで発展したベトナム経済の背景で、
この10年間のうちに頂点に立ち、
国営企業は株式の売却によって、
ベトナム国内外から数多くの投資家を集めることができた。
例えば、
ホーチミン市にあるエアコン及び電気機器製造企業
-REE(Refrigeration Electrical Engineering Joint-Stock Co.)は
2005年末と比べ、2007年末には資本金が523%増加。
しかし、同社の株価は2008年年初より74%下落した。


投資家は大損

ベトナム投資家は、上場株式の75%を保有しているため、
証券市場の下落により大きなショックを受けた。
Nguyen Van Hai投資家は、
約7億ドン(約43,000ドル)の損害を被り、
同氏の両親は彼の借金返済のために家を売却した。

29歳のTAXI運転手は、インタビューで、
「住宅購入資金と結婚準備金のために証券の売買を始めたが、
今じゃすっからかんになった」と語った。

しかしながら下落したベトナム株価は
Templeton Asset Management Ltd.,資産管理会社の社長
- Mark Mobiusを満足させるほど安値には至っていない。

Dragon Capitalの資料によると、
HOSEに上場している151社の株式は、
PER10倍以下で取引され、以前の30倍と比べても低すぎる。
Bloombergの資料によると、
新発展の証券市場に対するMSCI Emerging Markets Indexでは、
ベトナム株式が平均PER13.5倍で取引されている。


回復までの時間は?

「回復にはもう少し時間がかかる。」
シンガポールTempletonの470億ドルの管理を任されているMobius氏は言う。
「もし市場に参入したいのであれば、長期的に投資するべきだ。
そうしないと「清算性が非常に低い」株式で
必死になってしまうだろう」。

HOSEによると、
現在、1日平均約52,000株及び債券が売買されているが、
2007年の同965,000株とは比べものにならない。
昨年11月のIMFの報告書によると、
ベトナムのインフレがアジア一「深刻」だ。

この5月で、物価が前年同期比25.2%上昇、
これは1992年以来の記録的な数字であり、
アジアで最も高い(ベトナム統計総局による5月27日資料)。
食糧は67.8%上昇した。

ベトナム国家銀行は金利を12%に引き上げ、
1998年以来、最も高い利率となった(1998年の基本金利は8.75%)。
この国は徐々に「金融危機」に陥っている。
同行は、インフレの上昇が止められず、貿易赤字が徐々に大きくなる背景で
ベトナムドンの価値を高く確保した(Morgan Stanley銀行の5月28日付報告書)。


信用評価も下がる

29日、格付機関Fitch Ratingsが
ベトナムの評価をを「安定レベル」から「弱含み」に下げた。
その根拠は、
政府によるインフレへの対応が遅すぎて
銀行システムにリスクをもたらしたことにある。

不動産業者は銀行の貸出金利が上がるのを恐れ、
積極的な活動を控えている。
Dong Nai省にあるIdico住宅投資開発会社の株式は80%下落し、
この下落幅はHOSE最大となった。

ただ、数名の外国投資家にとっては、
ベトナム市場はまだ魅力的であり、
引き続き株式を購入したいという。

LGT Capital Management (Singapore)の
200億ドルの資産を管理しているBeat Lenherr氏は
「この市場はまだ発展の初期段階で、力強くスタートしたばかりだ。
今は苦戦を強いられているが、早期に回復するだろう」と考えている。

ホーチミン市在住の公務員Luong Minh氏は
1ヶ月で500万ドンしか稼げないが、
証券の売買で一気に1億ドンを損失した。
「現在保有している株を売りたくないが、
長く保有していればともっと損をする。
ただ、売りたくても、市場の動きが鈍く、なかなか売れない。
非常に落ち込んでいる。」と語った。


Sanotc.com 2008年6月2日


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