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2010年10月21日

ベトナム企業と為替レート


USD/VNDの為替レートが上昇する時に
泣く人と笑う人がいる。
ただ誰でも、
ベトナム政府が為替レートの問題に対して
「最良の対策」を適用することを期待する。
政府が動き出すまでに企業は
できるだけ生産と販売の問題に対して
努力し、解決方法を模索する。


為替レートが上がると、
輸出企業が有利になると言う話は
今現在は正しくない。
多くの輸出企業が主な資材を輸入している。
輸出入活動がある会社が
為替レートへの政府の調整を期待している。


為替レートの上昇はリスクかチャンスか?

Pho Xinh内装株式会社は社員数700人、
全国で10店舗と3つの大工場がある。
この会社の売上の40%が輸出活動の収入だが、
木材、皮、ガラス、鉄等の主な資材を輸入している。
VNDの下落により、
この1年間は同社にとって不利な年である。

まず、同社は資材の輸入価格の上昇に
直面しなくてはならないが
輸出価格が以前に締結された契約書に
掲載されているため値上げができない。
また、中国製品との競争も激化し、
生産経費と賃金も連続的に増えている。

同社はこの1年間で、社員を確保するために
給与と手当てを60%引き上げる必要に迫られた。
為替レートの調整に対する政府の動きが出るまで、
引き続き外貨資金を購入して資材調達オーダーを
清算する。

また、中国製品と競争するために
輸出価格は維持し、製品の付加価値を上げた。
だが結果的に、同社の得た利益は期待通りにならなかった。

Nha Be縫製会社のストーリも
Pho Xinhとあまり変わらない。
気候変動によって世界で綿が不足し、
VND安によって縫製会社の資材輸入価格の問題は
さらに困難となった。

Pho Xinhと同様にNha Be縫製会社が
VND安の影響で給与と手当てを15%引き上げなくてはならない。
当然、Pho Xinhは利益減少状況を受け入れたが、
Nha Beの社長は奮闘し、
輸出先企業へ加工単価の引き上げ交渉をしている。
ただ、交渉は容易なことではない。

同社は
多くのベトナム縫製会社と同様、
加工作業を中心に行う。
加工企業は交渉の立場が弱いので、
交渉の結果、加工経費を約15%しか
上げることができなかった。

また、同社は経費削減に関する対策を多く実行した。
例えば電気代を節約するため勤務時間を30分減らし、
生産能力はそのまま確保してエネルギーの節約を
試みたり、生産過程を厳しく管理した。
結果は対策実施の1年後に
100億VNDを節約することができた。

Pho XinhとNha Beの対応能力は
資材調達価格と生産過程を中心に高まるが、
VND安の影響を販売価格に反映することは難しい。
競争が高い分野で活動し、
マーケットシェアが小さく、代替商品が多い企業は
経費の増加分を販売価格に乗せて
消費者に負担させることは困難である。

Pho Xinh、Nha Be等の輸出会社は
損害のバランスを取るための外貨の収入源があるが、
国内市場向けの企業はさらに困難である。
為替レートの上昇に関する問題に対して
対応できない場合は消費市場が混乱する可能性がある。

Vinamilkはその一例である。
現在、Vinamilkはベトナム国内の
ミルク市場の約75%を占めるが、
原料の60%がニュージーランドとオーストラリアから
輸入している。

2010年8月から国家銀行が銀行システム内の
VND/USDの為替レートを2.1%(1万8544VND/USDから1万8932VND)
上げたことにより、企業の資材仕入れ経費が増加した。

増加経費を補足するため、
同社は製品の販売価格を約6%上げた(他社は10%アップ)。
ベトナムのミルク製品の価格は
世界一高いと評されている。
為替レートが不安定なので、
Vinamilkは経費節約の方法を考えた。
主導的に原料供給源を作ることである。

為替レートの上昇は
外貨の負債がある企業にとって
頭の痛い問題である。
VNDの金利が高くなると、企業はUSDを選ぶが、
返済期日がすぐ来るので、
より高い価格でUSDを購入する圧力が高まる。

この間、第1通信会社(ハノイ市)は
外国資材調達会社に返済するため
大きな外貨資金を借りた。
その後、USDが高くなったので、
為替レートの変動による赤字が18億VNDになった。

VND安によって輸入企業は苦境に立たされるが、
輸出企業は多くの外貨資金を手に入れる。
輸出企業と輸入企業の権利のバランスを
取るためにはどうすればよいか?
政府が「母親」として企業の利益を
平等的に割り振る必要がある。


サイゴンエコノミックスタイムズ  2010年10月20日

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