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2011年05月19日

ベトナム、USD優勢脱却計画


国家財政監査委員会副委員長、Le Xuan Nghia博士は、
ベトナムは、2013年末までにUSDの優勢状況を、
100%解消する、と発言した。
現在ベトナムは、他の東南アジア諸国同様、
経済がUSDに支配されている。
国内のUSDの使用比率は20%以上にのぼる。


現在のドル化状況と、インフレ上昇は、
マクロ経済に大きく影響しており、
VNDが暴落したことで、インフレ抑制が困難になっている。
このまま、経済全体がドル化してしまった場合、
中央銀行の役割もなくなってしまう。

これについて、今日までベトナム政府は、
効果的政策を打ち出せていない状況だ。
今年に入って政府は、ドル化を改善させるための政策を立案、
直接指導する姿勢を見せた。
2013年までに中期計画を立案する予定となっている。
事態がうまく運べば、ベトナムは完全にドル化から脱却し、
外貨預金やUSD貸付を中止することになるだろう。

ラテンアメリカ、ブラジル、アルヘンティナ、
メキシコ等の国では、USDによる銀行入金が許可されているが、
引出しは、自国通貨で行うよう規定を設けている。
この政策が適用された当初は、一定の効果が表れていたが、
次第に、USDを銀行に預けずに、海外送金するようになった。
そのため、こうした国でのドル化改善政策は、
失敗しているといえる。

政府はUSDからの脱却のため、
今年以降2013年までの期間、
以下の対策を実施する予定となっている。

(1) 2011年、外貨準備資金率を12%に引き上げる。
ブラジルは、同比率を一時35%に上げた時期もあった。
この案は、行政的対策の中で、一番成功が期待されるものである。

外貨準備資金率を上げることは、
外貨と現地通貨の預金との貸付金利の差を広げることになる。
各商業銀行がUSDの預金金利をさげ、
USD貸付金利を引き上げることで、
国民はUSDを売りVNDで預金するようになる、という寸法だ。
そして、企業もUSDに替り、VNDで借り入れをおこなうようになる。
この場合、USDの預金と貸付利益は、
VNDの預金・貸付よりも小さくなる。

(2) 外貨取引比率を、資本金の± 30%から、
20%に引下げる(外国銀行を含む)。
ただ、外国銀行の外貨預金資金は、
国内銀行よりも大きいため、
外国銀行の外貨取引比率は、国内銀行より多少 高い。
例えば、国内銀行が20%で、
外国銀行が25%、といった具合である。

(3) 外貨預金金利の上限を決る。
具多的には、個人預金に対して3%、
企業預金に対して1%と規定する。

(4) 国営企業の決算は、100%VNDで行う。

(5) 外貨の貸付活動を制限する。
外貨借入れのできる機関を、
銀行だけと規定する。

ベトナム政府はこうした対策とともに、
ブラックマーケットに代わる外貨取引市場を開設し、
買い物やサービス料を外貨計算することを禁止しようとしている。
2011年末からは、USDの預金・貸付、
金の預金・貸付活動が中止される予定だ。

こうした対策が統一して成功裏に行われれば、
ベトナムでのドル化は大きく改善されるだろう。



Vneconomy.net  2011年5月18日

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