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2011年09月05日

日系小売企業 ベトナム参入続々


日系企業がベトナム小売市場に大きく投資する傾向が強まっている。
すでにいくつかの企業が工場を買収し、
販売活動を拡大する計画があるという。


以下は、ホーチミン市日本貿易振興機構(JETRO)所長-
吉田栄氏の見解である。

今までに日系企業は、資材を日本から輸入し、
ベトナムに工場を建設し、
輸出商品の加工を行う、というのが主な傾向だった。
しかし今は、日本やアセアン各国で製造された製品を、
ベトナムで販売する傾向に転換しつつある。
この傾向は、アセアン貨物貿易協定(ATIGA)で、
アセアン内での関税が全廃される予定の2015年以降、
特に強くなる見込みである。

例えば、Family Martは現在、ホーチミン市に1号店を構えたばかりだが、
今後、国内で200店舗を展開させることを目指しているという。
また、イオングループもベトナム支店を開設する計画があり、
2013年から本格的に参入予定であるとのこと。

その他、現在ベトナムに小規模工場を構えるいくつかの日本企業は、
今後生産活動を中止し、製品販売の拡大、または
大規模工場を建設する計画があるという。

典型的な例としては、ソニーグループは
すでに国内のテレビ組立工場を閉鎖している。
現在ソニーは、ベトナムでは販売業務の展開のみを行っている。
日系企業は、2015年を見据えた経費削減の一環として、
ソニーのように、海外の製造拠点を一か所の大規模工場に
集中させる方針を採る場合も多い。
ソニーはベトナム工場閉鎖ののち、
規模の大きいマレーシア工場に投資を集中させている。
計画投資省外国投資管理局の統計によると、
現在までに日本からは、1,572件のFDI案件があり、
投資申請額は220億USD近く、
ベトナムに投資する92カ国中第4位の大規模投資国となっている。
年初8ヶ月で投資許可が発給された新規投資案件は108件、
新規投資額は6億4,225万USDに達する。

日系企業がベトナムの国内外に工場を移転させることは、
各国の投資環境や市場規模に大きく影響する。
アセアン市場の開発のため、
多くの日系企業が大規模工場の建設を予定している。
ここ4ヶ月間で、ホーチミン市日本商工会(JBAH)の
会員登録を行う投資家が、急増しているのだ。

また、円高の影響で大手日本企業が
M&Aによるアジア企業の買収を行う傾向が出てきている。
つい先日も、UnichamがDianaベトナムの95%を買収している。

ベトナムは日本の投資家からは、
潜在力の大きい市場と評価されてきたが、
近年、マクロ経済が不安定になり、
インフレが投資家にとって最も大きな懸念材料となっている。
ベトナム政府が外国投資家を誘致するためには、
マクロ経済の安定化政策の実施が急がれる。

労働者の質にについて、ベトナムは、
まだ近隣諸国に比べると高い水準を保っている。
政府は最低給与を月100万VNDに引き上げたが、
円高により、日本投資家には余り影響を及ぼしていない。
ただ、この最低給与引き上げ政策は、
今後の投資家心理に影響する可能性もある。



Vneconomy.net  2011年9月5日

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