« ベトナム小売形態の変化 | メイン | 10年後の工業国化に向けて 迷走する開発戦略 »

2012年03月05日

ベトナムは、アジアのバイク産業拠点となれるか?


ベトナムは、世界一バイク利用者の多い国である。
ただし今後ベトナムが、アジアのバイク生産の拠点になるかどうかは、
未知数だ。


3月1日、イタリアPiaggioグループの、
新たなエンジン製造工場が竣工した。
この新工場はスクータータイプのバイクのエンジンの生産と、
アルミ部品の加工を行い、点検レーンを備えている。
稼働は、2012年4月を予定している。

Roberto Colaninno-Piaggioグループ会長兼専務社長は、
今後のアジア・太平洋の営業計画を明らかにしている。
それによるとPiaggioは、ベトナムをアジアの生産拠点とし、
今後数千万USDを投資し、R&D研究センターを国内に設立する予定であるという。

R&Dセンターが完成すれば、ベトナムでのPiaggioの生産能力は、
年間30万台に引き上げられ、現地調達率は90%以上となる。
今後は、ベトナムがPiaggio新製品の研究開発拠点となり、
バイク生産と輸出の拠点にもなることになる。

2009年からベトナム進出しているPiaggioの、
現在の生産能力は年間10万台で、
現地調達率は70%以上となっている。
現在、ベトナムのバイク市場は、供給過多の状況ではあるが、
Piaggioベトナム社長はこうした状況についても、楽観的な考えを示している。
曰く、ベトナムバイク市場はまだ飽和状態とは言えない。
スクーターバイクに対する需要は、今後も増加すると考えている、とのこと。
実際ベトナム消費者は、商品価値の高いスクーターを買う傾向になってきている。
その他にも、Piaggioはアジア市場全体に目を向けている。

現在、ベトナムが国内で生産する年10万台のうち、
30%がアセアン諸国に輸出されている。
今後、Piaggioベトナムは、
インド、台湾等にも輸出市場を拡大する予定である。

JICAの専門家は、現地調達率が90%以上となれば、
世界の第5位という市場規模からいっても、
ベトナムバイク産業はアジア有数の
バイク産業拠点となることができるだろうし、
国内需要に対応するだけでなく、海外への大量輸出もできるようになるだろう。

実際、ベトナムでのバイク販売会社が、
アジア市場へのバイク輸出活動を促進している。

中でもHonda Vietnamはその先駆けになっている。
2011年にHonda Vietnamは約30万台の各種のバイクを
フィリピン、ラオス、カンボジア、アフガニスタン等の国に輸出している。

2012年は前年以上にバイクを輸出する計画がある。
2012年末、Honda VietnamはHa Nam省で新工場を稼働させる予定となっており、
年間250万~300万台の生産能力を拡大する予定となっている。

Honda Vietnamだけではなく、
Yamaha Vietnamの輸出活動も目覚ましく、
現在、年間150万台の生産能力を拡大する計画を実行している。

専門家によると、2013年までにベトナム全体のバイク生産能力は、
年間500万台を達すると予測されており、
そのうちの約300万台が国内市場で販売される予定となっている。

国内市場だけ見た場合、
Honda、Yamaha、Piaggio Vietnam等の外国バイクメーカーは、
このようにベトナムへの投資規模を拡大しないだろう。

日本の専門家によると、近年、ベトナムのバイク産業は急速に発展しており、
現地調達率も年々上がってきているという。
また、ベトナムでの生産経費は他のアジア地域より低いため、
バイクの生産輸出には強みがある。

こうした強みを活かし、生産能力を拡大させていけば、
バイクに対するニーズが高まってきているラテンアメリカや、
アフリカ等の地域を開発することなでどで、
ベトナムの輸出業績はさらに高くなるだろう。

商工省工業戦略・政策研究院によると、
現在、世界全体のバイク生産能力は年間4,300万台であるという。
その中で、中国が42%、インドが15%、
東南アジアが22%をそれぞれ占めている。

アジアは世界最大バイク消費市場であり、世界全体の80%を占めている。
最大の市場は中国で年間1,000万台、
インドネシア 500万台、
タイ 200万台、ベトナム 300万台、
日本と台湾が年間100万台を購入している。

また、世界のバイク市場は年5~6%で成長を続けており、
中でも発展途上国の消費は大きい。
こうした機会をうまく利用できた場合、
ベトナムはアジアの中でも有数のバイク産業拠点になれるだろう。



Vneconomy.net  2012年3月5日

« ベトナム小売形態の変化 | メイン | 10年後の工業国化に向けて 迷走する開発戦略 »

    ・本資料に記載された情報の正確性・安全性を保証するものではなく、
     万が一、本資料に記載された情報に基づいて
     皆さまに何らかの不利益をもたらすようなことがあっても 、一切の責任を負いません。
    ・本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、
     投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。
    ・本資料の全部または一部を無断で複写・複製することを禁じます。

運営会社編集方針お問い合わせプライバシーポリシー