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2012年06月25日

不良債権 再生への道は複雑怪奇


不良債権の売買市場が混乱しているなかで、
国家銀行主導の、不良債権買収会社の設立が計画されている。
しかし、その誕生には大きく疑問視する声もある。


膨らむ債権、下落する不動産価値

多くの銀行専門家にとって、
Tamexco、Minh Phung案件は記憶に新しい。
しかし、この案件が発生した頃は、
不良債権が銀行の貸付額を超えたといっても、
その規模は今より断然小さく、
また、担保資産となっていた不動産価値も大きかった。
それによって、不良債権を全てカバーできたのである。

ただ現在は、担保が不動産である場合、
不動産市場の暴落に対するリスクが付きまとう。
不動産は下落が続いており、
担保資産は売れず、不良債権を解決できないといった
負のスパイラルに陥りやすいのだ。

そもそも、財務省付の債券売買会社(DATC)が設立された目的は、
国営企業の財政状況の改善と経営支援であった。

しかし、債権の購入方式というのが、
貸主とは別々で交渉を行い、両者が合意した金額で清算するというもので、
DATCもかなりのリスクを負う。

資金協力をしてくれる投資家が見つからない場合、
企業は、営業資金を借りることができない。
DATCも購入した債券を回収できないリスクに直面することになり、
最悪の場合、企業の倒産問題にもつながる。

ロンダリングに使われるだけのAMC

現在、金融機関の不良債権は、二つの方法で処理される。
一つは、担保資産がある不良債権の入札を行うこと。
もう一つは、他の金融機関と資産管理会社(AMC)に
不良債権を売却することである。

入札方式は複雑で、金融機関が複数の法律的手続きを行い、
資産価値を計算、入札参加手続きが完了するには、
かなりの時間がかかる。
また、金融機関が債権整理委員会を設立し、
購入者を見つけるのにも多くの時間をかけ、
適切な価格となるまで、資産は売却しない。

現在、ベトナムには資産管理会社(AMC)が18社ある。
いずれも各商業銀行の債券を購入している。
今まで、債権の売買は金融機関同士で行われており、
特に会計検査の前や、年度末に積極的に実行される傾向にあった。
ただ、金融機関同士で債権を売買しても、
不良債権の徹底的な解決にはならない。
債券が形を変えて銀行ネットワーク内に残るだけなのだ。
銀行は、会計報告書をきれいに見せるために、こうした手段をとる。

これまで、不良債権や担保資産の整理はまだ散発的に行われるのみで、
これからは、経済全体や、金融システムを対象とする、
統一的な解決方法が、必要になってくるだろう。

既存債券売買会社 DATCの限界

DATCの活動が成長しないのはなぜなのか?
また、国家銀行が、債権売買会社を設立しなくてはならない理由は何なのか?
この2社の営業内容は基本的に似ている。
2004年~2011年末までにDATCは、
首相指導に従って、6つの債券購入、企業改善を行い、
債券回収のために112の相対取引を実行してきた。
これらの帳簿価格は7427.9兆VNDで、
回収額は2,323.6億VND、回収比率は99.4%を達成した。
DATCは毎年平均3,666.7億VNDの回収に成功している。

DATC副社長-Pham Manh Thuong氏は、
会社の設立目的は、そもそも数百兆VNDもの債券を
処理するためではなかった、と語る。

一方で、新規債権売買会社を設立する代わりに、
政府がDATCの資本金を引き上げる、という方法もある。
(現在、DATC資本金は2,481兆VND)
Thuong氏は「政府が社債投資ファンドを開設し、
DATCがこのファンドを管理する、というのが一番良い方法だ。
目的達成後はファンドを解体すれば良い。」と述べた。

ただ、多くの専門家はDATCについて、
国営企業であり、商業銀行ネットワークだけではなく、
経済全体を相手に活動している。
その一方で、財政力は制限されており、
特に今の金融システムの不良債権の規模に比べると、企業資本は小さい。
また、不良資産を購入し、再構築し、
売却して利益を得るまでの過程は大変複雑であり、
必ず成功するとも限らない。

不良債権の売買は、そもそもリスクの多い活動であり、
成功すれば利益も大きいが、その分のリスクも大きい。
また、国営企業としてのDATCの活動体制、財政、管理体制、監査体制は、
こうしたリスクに即応できないのが、現況である。
だからこその、会社新設ということなのだが、
新設の必要性については、未だ不透明な状況である。



CafeF.vn 2012年6月25日

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