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2009年04月12日

ノウハウを仕組みに残す、労務マーケティングを!


高い離職率と、会社への過度な要求
  ベトナム人にとっての会社とは、
 “教育を提供してくれ、自分の能力と価値を高めてくれる場所”
 という都合の良すぎる認識がある。
 教育ポリシーが悪かった。ベトナムでよく聞かれる退職理由であり、
 勉強会への参加や、学んだことを活かす職務へのニーズが高い。

労働者の傾向と、雇用者の要求 相違点
 労働者の要望
  (目的)自己能力の向上=高い給与獲得
  (問題)教育、教育ポリシーが悪いと退職をする

 雇用者の要求
  (目的)業務効率
  (問題)高い離職率=採用・教育コスト増
      忠誠心の無さ=教育してもすぐに退職してしまう。

効果(成長していると感じさせる)の最大化
コストはかかるが、従業員を教育し、生産性を上げてゆくことは、
雇用側にとって必要不可欠ではある。
しかし、会社に対する忠誠心が皆無且つ、
転職率の高いベトナム人を相手にした際、
最小労力&コスト(教育指導)で
最大効果(労働者が教育を受けられていると感じる)を獲得する、
経営側の工夫が必要である。


具体的手順
 STEP1 one to one marketing 相手を良く知る

  (1)本人の希望をヒアリング 
自分の学んできたこと(専門や、語学)をいかせる業務に就きたい、
そしてさらにキャリアアップしたい、というベトナム人の向上心は評価すべきところ。
採用面接、日々のコミュニケーションで、本人の思い描く職業像を把握することが、
その後の指導の要となる。


(2)日々の業務=”やりたいこと”と意識付け
 やりたいことだけをご用意するのが会社ではない。
 ここで、任せる業務に過去の経験との関連性を持たせ、
 過去の経験を活用することと意識付けをさせる。
 更に、キャリアアップになることを理解させる。
 ①で得たキーワード(=選考分野)の復唱が効果的

(3)対価の明確化
 その業務を行うことが、キャリアアップになり、つまり昇給につながることを明確に理解させる。
 成果が報酬にイコールでない、頭脳労働の場合は、scope of workと給与を明確にし、
 その業務が出来て、規定給与、それ以上が昇給、以下が減給をしっかり認識させる。
 例えば、業務の横にチェック欄を設け、定期的な見直し等をしてゆく、
 若しくは見直そうとしているそぶりだけでもすることが重要である。


STEP2 高いブランドの帰属者である事を強く認識させる。
     何度も教え、社内文化として刷り込む。
朝礼、報告、時間厳守、MTG。
日系企業では常識的なことでも異文化圏では、厳しいルールとして敬遠される。
決まりごとに表立って反抗しない一見従順に見えるベトナム人のこと。
納得しないと、ただやるだけ、で業務の本質を探究することはない。
日本で一般的な慣習でも、その目的を今一度見直し、明確に教える。
教育的要素を強調するとベトナムスタッフが協力的になるだけでなく、自己成長意欲の促進剤となる。
 (例) 朝礼 チームワーク力を養う
     報告 まとめる力、伝える力を養う
また、厳しいと思われるルールを守ることが、
つまり、日系企業で働くブランドを担うことという特別感も協力姿勢へは効果的である。



STEP3 とにかくマニュアル化
指導は、話をした全てをマニュアル化する心積もりで、単語、箇条書きメモを。
シンプルで判りやすいマニュアルを作成すること、
そしてそれを使用してベトナム人スタッフがベトナム人を教育出来る仕組み作りを構築すること。
質問に対して、マニュアル本を教育担当者に渡せば、全てが解決する、
そこまでの落し込みが労働単価の高い日本人による労力と時間の無駄遣い防止につながる。



ノウハウは“仕組み”に残す
情やコストをかけても淡白に辞めていくのがベトナム人。
・個々人への指導は避ける
・感情の入った教育は控える
・とにかくマニュアル化をすすめる
・日々の各業務に、教育的要素を説明、納得させる。
以上を踏まえ、個人への教育に苦心するのではなく、全社員への満足感を目指していただければと思う。


以上

(福田)

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