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2011年06月10日

Kirin、IFSとの提携で市場開発と参入ルート短縮に着手


従来の小売企業買収は技術や経営管理経験の移転等、様々な目的で行われたが、
このほど実現したKirin-IFSの提携は販売ネットワークの構築が目標である。


Kirin Acecook Vietnamの横溝宗親社長は、双方が合弁会社を設立することは
Acecookの強みを利用するためである。Acecookはベトナム市場を理解しており、
幅広い販売ネットワークを持っていて製品がベトナム人に愛されている。
しかし、結果は期待と違っていた。両者は問題点を細かく分析して活動構造を
変えるための新たな対策を検討中。昨年9月からはAcecookの飲食販売担当部が
Kirinに移った。

強力なKirin-Acecookの合弁と、まだ噛み合わない互いの思惑

横溝氏はAcecookがベトナム全国で1万の代理店を持ち、Acecookラーメン等の
商品がベトナム人にとってポピュラーで、小売店舗は簡単に代理店から仕入れを
行っている一方、Kirinというメーカーがベトナム市場でまだ知られておらず、
店舗での販売はAcecookの6%しかないと述べた。

Acecookとは別に活動した後でKirinは人材を再構造し、ベトナムの市場に合う
日本的な販売方式を調整するとともに接客方法を見直しているが、受け入れ比率は
その後に上記の6%から30%に増えた。

期待されるKirin-Interfoodの提携

Kirin – Acecookのベトナム合弁会社は資本金が2,900万USD。 Kirin Holdingsが51%を
所有し、Acecook Japanが39%、Acecook Vietnamは10%を所有している。この合弁会社は
Binh Duong省工業団地に工場を建設し、全体的な投資総額としては6,000万USDだが、
第1期の投資額は3,400万USDとなっており、生産能力は年間で400万箱(25本/1箱で換算)。
この状況での活動スタートしは2009年5月である。

Kirin HoldingsがIFSに投資する理由はAcecook-Kirinの合弁会社が円滑に活動できない
ためではない。この投資案件はマレーシアでアジア市場における開発戦略実施のために
一部が行われた。Kirin HoldingsはTrade Ocean HoldingsからIFSの株式(所有の57.25%)を
全て買収した。この取引でKirin HoldingはIFSにおけるTrade Ocean Holdingsの株式だけで
なく、IFSが著作権を持つWonder farmBiscuits&Confectioneryの買収が可能となる。

市場開発の面から見ると、IFSはベトナムの飲料市場で長期間の販売経験を持ち、
11万の代理店で伝統的かつ現代的な小売ネットワークを構築している。同種の
飲料販売でIFSはAcecookより大きな支援を行うことが可能で、互いに自分の
強みを生かすことができる。Kirinは生産能力の大きなボトル生産チェーンを
所有しており、InterfoodはKirinがまだ投資していない缶生産チェーンを
持っている。

横溝氏は「投資家が自分の力で市場に参入する場合は、ある程度のシェアを
作るために通常なら最低5年ぐらいかかる。Kirin Vietnamは今回の新提携で
市場への参入ルートを短縮させることが可能だと予想している」と述べた。
Kirinは今後Kira、Latte、Ice+の新製品を市場に投入する予定。

決定的な要素は「小売ネットワーク」

ベトナムでの小売活動を展開する中で一番の難関は、店舗の平均スペースが
通常25種類の商品しか展示できず、新しい商品を仕入れるのが難しいことだ。
このため、Kirin Vietnamは「営業精神プロモーション」を発動し、PR職員が
ダイレクトで店長を口説く。その結果、64店舗中の54店舗がKirinの商品を
受け入れることとなった。横溝氏は「消費者が新しい商品に慣れてくるまでは
小売ネットワークの役割が非常に大きい。ベトナムの場合は家庭販売が消費者に
最も近づけるルートである。物売りだけではなく店長との関係も密にしなくては
いけない」と述べた。

飲料販売分野における30年以上の活動経験を持つ横溝氏は、現在のベトナムが
1970年~1980年の日本と同じだと分析した。当時、日本では伝統的な販売店が
全国で30万件あり、酒類の販売を行う店だけで14万6,000件も存在したため、
小売店のネットワーク内で緻密なデータ整理が行えるシステムを整備することが
非常に重要であり、社員が効果的な配送ノウハウを計画しなくてはいけなかった。
現在、日本では商品の9割が最新の販売ネットワークもよって配達されている。
このような結果が得られた理由は1990年代に日本が伝統的な販売方法に代えて
現代的な販売ネットワークを採用したことにある。ベトナムにおいても近い将来
これと同様の傾向になると考えられる。

Kirinの分析によればベトナムの飲料市場は、まだ発展を望める可能性が大きく
数十年後には急速に発展するとされ、それが証拠に飲料販売の実績は2005年の
6.3億リットルから2010年の15億リットルに急成長を遂げた。商標については
現在、日本で13の商標が販売されているが、ベトナムではまだ5商標しかない。

また、レストランや喫茶店、スーパーなどでのON販売ルート(現地販売)は
2005年の41%から2010年には51%まで増え、店舗におけるOFF販売ルートは
減少傾向を見せている。これはどこの国でも同様の動向である。


サイゴンエコノミックスタイムズ  2011年6月10日

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