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2009年03月31日

金利の逆転


先週末の時点で、ベトナム外貨国債の入札申請は、
30の機関投資家が参加し総額7.6億ドルに上った。
しかし売却総額はわずか1億ドルであった。


落札銀行は年間3%の金利で外貨国債を購入した。
この金利は財務省が規定した上限金利である。

購入申請の数は売却数の7.6倍に上ったが、
実際の落札金利は低かった。
これは、ベトナム商業銀行が外貨を余らせていることを現している。
原因は、各銀行が外貨預金金利を急激に上げた一方で、
貸出が調達スピードに負いつかなかった事だ。

外貨の問題を解く

ある落札銀行は、主導的に低金利を飛ばして、3%で外貨国債を購入した。
「年利3%は魅力的ではないが、安全ではあり、
必要時に担保として国家銀行から資金を借りることができる。
外国銀行に預金する場合、
USDの金利が12ヶ月期限で最大2%しかない。」

銀行では、各行とも1年期限でUSDを購入するところはない。
現在、最も長くて6ヶ月で年利は1.89%である。
国家銀行に預ける場合は、0.5%の年利を得られる。
従って、外貨国債を購入することが一番有利となる。

外貨の貸出先を見つけることは、
各商業銀行にとって頭が痛い問題である。
全ての銀行はUSDの預金金利を今までにない程に下げたが、
人民は外貨預金を選ぶ。

ベトナムドンの預金金利は12ヶ月期限に対して
年間8%~8.5%であるが、
USDの預金金利は年間2.6%~3.1%である。

もともと5~6%の違いがあるのは適当なことであるが、
今年も、ベトナムドンの価値が、
去年同様、8%は下がると予想する者も多いため、
金利の差は魅力的ではなくなっている。

外貨の貸出市場は小さいので、最近、各銀行では
ベトナム信用機関への派生商品の販売を促進している。

一番多く販売されている派生商品は、
信用リスク交換商品 (Credit Default Swap - CDS)である。
CDSは保険に似ている。

例えば、A会社の債券を買うと共に、
B銀行のCDSを買うと、
毎年B銀行にフィーを払わなくはいけないが、
A会社が社債の清算能力がなくなった場合、
顧客が債券の額面と同様の賠償資金を貰える。

その他の派生商品にはCLI
(Credit Linked Investment - 投資とCDSを組み合わせる商品)がある。
去年、CDSが年間9%の収益率を得た時期があったが、
現在は多少減り、今年3月19日の時点では年間5.2%である。
CLIはSibor金利+6ヶ月期限又は12ヶ月期限の金利(年間3.5%)
で販売されている。

去年、CLIの購入額は最低500~1,000万ドルであったが、
現在の購入最低額は20万ドルしかない。
ただし、購入額が低いと、フィーが高い。

CDSとCLI商品の利益は外貨の貸出金利より高く、
外国銀行の預金金利、ベトナム外貨国債の金利より高い。
ただし、利益が高いと、リスクも高い。

銀行は国債を買うと、債券主の名義が
購入者の名義で掲載されるが、
CDS又はCLIを購入する場合、
ベトナム銀行が会社名義を付けられない。

理由はこの債券が外国で発行されるものであるため、
ベトナム機関に売却されないからである。
この場合は購入者が所有証明書を買うという事であり、
所有権は貰えない。
売却側が所有権を持つので、
購入時に売却側の清算能力を見て決める。

上記の派生商品はHSBC、BNP Paribas等の大企業である。
会社の商標は派生商品の安全性を確保するものである。

ただし、国際金融危機が発生し、
Citigroup等の商標に対する投資家の信用も非常に低くなっている。

ベトナム通貨の問題

ベトナム信用機関はこぞって外貨国債を購入するが、
ベトナムドンの国債に対しては無関心である。
原因はインフレ上昇がまた起こる可能性が高いため、
誰も政府に2~3年間でベトナムドンを貸し出さない。
各信用機関も銀行システム内の市場で短期に資金を貸し出さない。

インフレが発生しないと、金利を上げられないので、
その時点で国債を購入しても遅くはない、と考えられている。
各銀行、財政会社、保険会社は市場の変動を見ながら対応する。

ただし、ベトナム政府は外貨国債を発行するだけではなく、
ベトナムドンの国債も発行する。
つい最近発行されたベトナムドン債券の金利は、
期限によって年間7.2%~7.5%に上げられた
(この金利は国家銀行の指定の固定歩合より高い)が、
売却は思うように進んでいない。

債券投資専門ファンドの計算によると、
外貨債券の投資に対する合理的な金利は年間4.1%であり、
ベトナムドン債券の金利は年間8.5%より高い。
ベトナムドン債券の金利が下げられない場合は
今後の入札は、期待通りの結果にはならない。

また、各信用機関によるベトナムドンの調達源は
減少傾向である。
国家銀行ハノイ支店の役員によると、
ハノイ市における企業の預金が減少している。

2009年第1四半期、ハノイ市における銀行の調達資金は
460.251兆ドンに達すると予想され、
前年同期より25%増加するが、2008年末より0.36%減。
ただ、貸出総額は急速に増加し、
276.156兆ドンに達すると予想され、
2008年末より4.04%増加する。

先週、金利支援資金の貸出はスピードダウンした。
国家銀行によると、今年3月20日までで、
金利支援資金の貸出総額は151.903兆ドンに達したが、
先週の144兆ドンと余り変わらない。

全体の貸出総額は増加している
(3月の貸出総額が2月より1.5%増加)が、
金利支援資金の貸出総額が減少すると、
一般の貸出総額が急速に増加するので、
ベトナム経済の吸い込み能力が上がってくる。

従って、供給源が充分に用意できるため、
銀行が預金金利を上げる方法しかない。
ベトナムドンの預金金利が上げられたが、
外貨の金利が低く維持されている。
これは経済発展に対して良い信号である。



サイゴンエコノミックスタイムズ  2009年3月27日

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