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2009年05月27日

ベトナムでの電子商取引普及に妙策はあるか


インターネットなどを通じて行われる
生産、マーケティング、販売、サービスの提供といった
いわゆる「電子商取引」は、
ITの発達とともにビジネスとして進化し、
企業や消費者に対してさまざまな利益を提供する。
しかし、現在、ベトナムにおいては、
電子商取引はあまり発展しておらず、
促進方法や国際社会への参入を模索している。


電子商取引は3年前からベトナムでも導入されたが、
現時点において、活用している企業は少なく
機能や内容に制限や制約が多い。
商工省の統計によると、現在
調査対象1600社中33%が
電子商取引に関する開発戦略を持っている。
その主な構想として、サイトの整備、
専用ソフトや管理ソフトをサイト上で導入することなどである。
電子商取引を通じた売り上げについて
2008年の売り上げ全体の
5%以下の企業は企業全体の25,7%で、
売り上げ割合5~15%の企業が8.7%、
15%以上の割合の企業が全体の35.6%を占める。
だが、ネット上の情報を利用して、
このように、成果を挙げている企業はごくわずかである。

また、ベトナムにおける電子商取引の活用について
専門的に特化している企業はないに等しい。
例えば、ネットを介して、交渉、契約を締結し、
製品を発送しても、
取引先が精算を行わないケースもある。
その理由が、商品が要求に合わないといった
取引の根本的なものであるという。
また、契約を締結して送金したが、
相手側からなかなか返答がこない場合もあるという。
このようなトラブルが懸念され、
企業のサイトは情報としては常に利用されているが、
オンラインでの受発注機能は利用されないことが多く、
これに対するシステムの開発リスクもかなり大きい。

ただ、電子商取引自体は
急速には発展していないが、
システムとしては徐々に認知されつつある。
具体的には、宣伝やPRを目的として
企業がサイトを持つようになり、
顧客の要求に応えて電子商取引の実現を考慮し、
取引フォルムでそれを実施する。

また、取引フォルムの形態として
企業間(B2B)、企業対消費者(B2C)、
消費者同士(C2C)に大別されるが、
これらはすべて、国家電子商取引窓口(ECVN)を通じて
活用されている。
ベトナムにおけるB2Bは
2003年から2006年にかけて開発されたが、
2008年には16フォルムが活動を中止、
もしくは営業方式が変更された。
原因はB2Bが企業における交渉、締結、契約といった
ビジネスの現場を支援できず、
単に企業情報や売買情報しか掲載しないといった、
機能不足が挙げられる。

一方、B2CとC2Cは発展傾向にある。
B2CとC2Cは、市民一人一人に対して
電子商取引の利便性を提供し、
現代的なショッピングと知識を普及させる。
このB2CとC2Cを活用している企業やサイトに
vatgia.com、thegioididong.com、muare.com, muaban.netなどが
挙げられる。
このほか、eBayと提携するなど、
各サイトがベトナム国内の消費者に対して
新しい購買チャンスを与え、
また、eBayも数百万人の消費者と接触が図れる。

たが、B2CとC2Cについても、
商品の運送といった問題に対面している。
従来も、企業は、配達ネットワークを通じて
商品を消費者に配達する、
もしくは、消費者が直接引き取りにいく。
現在、多くの企業が
オンライン精算サービスを提供しているが、
これをさらに充実するには、
銀行の活動に対する支援が
政策として提供される必要がある。
さらに、電子商取引の安全性や
サイトを通じたアフターサービスの提供、
競争的で魅力的な価格の提供、
交換や返品・返金システムといった要素は
今後の発展に対して極めて重要である。

ベトナムでの、この手のシステム開発における
最大の問題は
消費者の心理と消費・購買の習慣である。
「お金を渡してものをもらう」売買方式と
「自分の手で商品を触る」習慣が
まだまだ一般的である。
また、市民のショッピングに対する知識は
まださほど高くなく、
品質や販売店に対する信頼性もまだ低い。

電子商取引がさらに発展するための
このほかの問題として、
精算方式のさらなる充実がある。
現状では、買い物の際は
現金で精算するのが一般的で、
国際的な清算方法であるクレジットカードの使用、
また、オンライン上での精算については
まだあまり普及していない。
もっとも、クレジットカードで精算できるところは
まだ限られており、
消費者意識とシステムの両面において、
電子商取引は十分に機能していないのである。

統計資料によると、
企業の74%は現金での精算を適用している。
このうち、74.8%は振り込みでの精算を、
25%は郵送での送金を扱っている。
今では、多くの企業が
オンライン上での精算サービスを提供しているが、
それでも、現金で精算する割合がまだ高く、
オンライン精算は全体の3.5%である。
また、受注方式についても、
サイトを通じて受注している企業は18.6%で、
74.3%の企業が電話で、
73.6%の企業がFaxで、
65%の企業がE-mailを通じて受注している。
このように、ベトナムの企業や消費者は
電子商取引について、まだ信用や認知は
低いといえる。

さらに、電子売買の開発に関して
銀行の役割は極めて重要である。
銀行は売却側と購入側を結び付け、
双方の財政を保証する機関となる。
だが、実際に
電子商取引に参入する銀行はまだ少なく、
Vietcombankが企業に対して
オンライン精算サービスを提供程度である。
このような銀行の協力不足も
電子商取引とそれに不可欠な
オンライン精算システムの開発を妨げている。

今後は、銀行が財政保証機関として
生産企業-売却側-購入側の間に立ち
その連携を緊密化すると共に、
生産側と販売側が品質を確保し、
また、購入側が精算能力を保証することにより、
電子商取引の問題点は改善されると思われる。

現在、ベトナムではSmartlinkが
電子商取引の開発において
中核的な機関とされている。
Smartlinkは消費者に対して
国際精算カード、国内精算カードの利便性をアピールし、
これらのカードを利用した
オンライン精算システムの利用を促している。
このほか、商工省は
nhanh tay.comサイトを通じて
オンライン割引キャンペーンを行っている。
また、同サイトに参加する企業は
品質に関する情報提供について
正確性が求められている。



Infotv.vn 2009年5月26日

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