« 韓国証券投資会社 越市場拡大に期待大 | メイン | 日本の投資家 引き続きベトナムに注目 »

2010年06月05日

東アジアの中のベトナム メリットと課題


東アジア地域(東北アジア、東南アジアを含む)は現在、
中国などの急速発展に伴い、世界的な経済成長の中心地域となっている。
東アジア地域の変動は、全世界に影響を及ぼしつつあり、
この動きは、特に地理、戦略両面から見ても、
ベトナムにとって重要な課題である。


東アジアの新しい動き

東アジア各国は、経済、政治、発展のなどの面で、統一されていないが、
以下のような傾向は、世界の他の地域と区別できる。

(1)多くの東アジア諸国が、輸出を主軸とした経済成長を
  積極的に促進している。
  特に中国の成功により、戦略的な輸出分野の拡張が
  アジア各国にとって、非常に魅力的なものになっている。
国際経済危機は輸出重視国の弱みを露呈させることになった。
中国のような大規模輸出国は、内需を高めることで、
経済成長を調整させ、この危機を凌いだ。
輸出促進に向けた政策策定を行う戦略は
東アジアのより小規模な経済にとっては、まだ適切である。

(2)輸出政策を促進させてから数年して、
  アジア各国は「東アジアの成長期」とも言える状況になった。

各国は段階的に発展しており、
発展速度は各国の技術開発力によって差がでている。
ひとつの国が一段階発展を遂げると、別の国がその位置に入り、
アジア地域全体を発展させている。

(3)WTOのDoha交渉と1997年アジア金融危機の経験を経て、
  東アジア各国は、地域内の貿易と協力関係の
  体制確立させるよう努力してきた。

WTOの統計によると、
現在、東アジア各国間では16の貿易協力協定が締結されており、有効期間である。
アセアン・中国自由貿易協定 (ACFTA)、
アセアン・日本自由貿易協定 (AJCEPA)、
アセアン自由貿易地域協定(AFTA)等の大規模協定は、
地域内の貿易関係を広げることになり、
アメリカなど、それまでの輸出市場への偏りも減少をはじめている。

注意すべきは、東アジアの貿易が
アジア地域内の大規模経済国の競争により促進されたことである。
大規模経済国は自国の影響力を利用している。
アセアンに対する中国の影響が大きくなってきたため、
日本はAJCEPAの他に東南アジア
(ラオス、カンボジア、ミャンマーを除く)各国と
7つの両国間自由貿易協定を結んだ。

ただ、これらの大規模経済国は、競争の中でも協力関係を模索している。
先日、日本、中国、韓国は3カ国間自由貿易協定の締結可能性について
検討すると発表した。
貿易関係の広がりは、当然東アジアの地域主義にとって重要な柱となる。
アセアンはASEAN+3 首脳会合、東アジア首脳会議等を通じて、
貿易関係を促進する中心的な地域となっている。
先日、ASEAN+3の投資資金保証基金の設立は、
国債市場開発や、地域内の財政ショック防止に対しても、大きな進展である。

ベトナムの問題

このようなアジア地域発展の背景において、
当然、ベトナムも大きなチャンスを迎え、課題に直面している。
ベトナムは地域市場に参入可能な、付加価値の高い商品を
まだ生産できていない状況である。
ベトナムの輸出商品は、主に労働力を多く利用したものであり、技術力は低い。
商品生産のために、アセアン各国や中国から、
沢山の資材と原料を輸入している。
今の様な商品を、引き続き輸出していった場合、
ベトナムが大幅な経済成長を遂げられる可能性は低い。

その他、東アジアの発展階段でより高いステップに上る可能性も制限される。
インフラ整備がまだ不充分であることや、
生産・販売経費が地域内でも高いことなどである。
ベトナム国民の有識者率は、他の多くの国と比べても高い方だが、
現行の教育システムでは、より高い技術力を必要とする産業の需要に
対応できる技能者の養成に対応できない状況である。
地域内の自由貿易促進に参加するには、ベトナムにはいくつかの課題がある。
長年の貿易赤字の高さは、マクロ経済にとっても不安要因である。
また、中国との貿易の赤字が非常に高くなっていることが、
大きな難題である。
また、ACFTA の制約によって、2015年から中国製品が
関税0%でベトナムに輸出されることが決定している。

特に、こうした状況により消極的な影響を受けている農村等の人民は、
非常に大変である。
ベトナムには、貿易赤字を損失したり、
人民に対する資金的な支援の政策はまだない。
ベトナム社会の貧富の差は段々大きくなており、
効果的な解決政策がないと、異常が発生する可能性も出てくる。

チャンスを探して

上記の挑戦に関わらず、ベトナムに与えられたチャンスも小さくはない。
東アジアの生産ネットワークの一部として、
ベトナムは多くのFDIの導入を受けている。
FDI資金を上手に利用できた場合、
ベトナムは技術転換を促進することが可能となり、
より高い発展段階に達する可能性がある。
また、ベトナムは政治も安定しており、若い労働人材が豊富なため、
中国・プラス1を考える投資家にとって
魅力的な選択肢となっている。

また、ベトナムは中国との貿易で
様々な問題に直面しているものの、
中国の広大な消費市場と接近することは、
ベトナム輸出にとって大きなチャンスである。
タイ、マレーシア、フィリピンが、対中貿易で黒字となっていることから、
ベトナムもできないはずがない、と考えられている。
中国との貿易が改善できることは、
ベトナムにとって大きな進展である。

もうひとつのポイントは、測量こそできないが、非常に重要である。
それは国際経済に大きく参入することで、
ベトナムが市場経済の体制をより良くし、
法律面の充実も図れることで、経済活動の効率を高めていることである。
ベトナムの経済発展の経過を見ると、
自由市場に対する取り組みにより、この数年で急速な経済発展を遂げている。

ベトナムの成長は非常に低いところからスタートするため、
ベトナムが自由市場を促進する政策を引き続き実施すれば、
高い経済成長率を維持できる。

また、国際経済へ積極的に参入することで、
ベトナムは外国投資家の信用も高め、外交政策全体を支援することにも繋がる。
アセアンの中でもその地位が高まっりつつあるベトナムは、
アメリカ等の、アジア地域への影響力を強めたい国にも注目されている。
これはベトナムにとって戦略的にも利用可能な状況であり、
外交政策や発展政策の目標を達するために、
徹底的に理解すべきことといえる。

現在ベトナムは、成長著しい東アジア地域にあって、
大幅成長するためには有利な発展環境にあると言える。
ベトナム政府が現状に対し、適切な政策を実施した場合、
ベトナムはより高い経済成長段階へ入り、
人々の生活水準も高まることになるだろう。



サイゴンエコノミックスタイムズ 2010年6月4日

« 韓国証券投資会社 越市場拡大に期待大 | メイン | 日本の投資家 引き続きベトナムに注目 »

    ・本資料に記載された情報の正確性・安全性を保証するものではなく、
     万が一、本資料に記載された情報に基づいて
     皆さまに何らかの不利益をもたらすようなことがあっても 、一切の責任を負いません。
    ・本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、
     投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。
    ・本資料の全部または一部を無断で複写・複製することを禁じます。

運営会社編集方針お問い合わせプライバシーポリシー