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2012年06月11日

好調Vinamilk 成長の先にあるもの


これまでVinamilkは、ベトナム国内の乳製品市場を、ほぼ独占してきた。
しかし今後も、この立ち位置を維持することはできるだろうか?


Vinamilkは利益/売上の比率が共に高く、金利も高いため、
資金力も非常に強い。
現在、ベトナムミルク株式会社 (Vinamilk、銘柄: VNM) は、
一企業としては夢の様な要素を所有している。

業績は好調を維持

今年第1四半期の会計報告書を見ると、
Vinamilkは、全ての営業項目の売上が前年同期を上回っている。
全体の売上は5.984兆VND、そのうち商品原価は4.076兆VNDで、
親会社の税引後利益は1.270兆VNDに上る。
同期、1株当たりの利益(EPS)は2,286VNDで、
他の上場会社の株式EPSを上回っている。

このような結果は、Vinamilkの様な大規模企業にとっては
望ましい結果といえる。現在、同社製品のマーケットシェアは、
ヨーグルト 95%、
コンデンスミルク 75%、
粉ミルク 30%となっている。
ベトナム全国で、17万8千か所の店舗で取り扱いがある。

今後、新工場の稼働に伴い、
生産規模はさらに急増するものと、予測されている。
Vinamilkは、2017年の売上目標を30億USDと定めているが、
生産量の増加は、目標達成の前提条件といえる。
今期業績発表の記者会見において、Vinamilk会長兼社長Mai Kieu Lien氏は、
今後新たに、3か所の工場が立て続けに稼働を開始することを明らかにした。

まずは、Da Nang市の生ミルク・ヨーグルトの工場が2012年6月に稼働、
続いて2013年第1四半期中には、
Binh Duong省で大型工場が稼働を始めることが決定いる。
生産量はミルク年間4億リットルとなっており、
その生産能力は、現在Vinamilkが稼働させている9工場の生産能力に
相当する規模となっている。
また時期を同じくして、子供用Dielac2粉ミルク工場も稼働予定となっており、
その生産能力は年間54,000トンとなっている。
Vinamilkは、増産体制を確立することで、
2012年も成長目標30%を目指している。

崩壊しつつある独占市場

大規模な投資計画により、
Vinamilkは巨大化の一途をたどっているかに見える。

ベトナムでは、一人当たりの乳製品の消費量が
世界の平均を下回っているため、Vinamilkに限らず、
乳製品業界の潜在市場はまだまだ大きいと考えられている。
しかし、Vinamilkの独占状態は徐々に圧迫されつつある。
売上自体は毎年増加しているものの、
同社のマーケットシェア率は徐々に減っているのだ。

原因はライバル企業の伸張である。
生乳分野では TH True MilkがVinamilkを大きく圧迫している。
ヨーグルト製品もこれまで独占市場だったのが、
今ではBa Viミルク等の他メーカーの成長により、
激しい競争に晒されるようになっている。
また粉ミルク製品でも、アメリカ、オーストラリア、日本、
韓国、フランスからの大手メーカー製品の台頭が目立つようになってきた。

それでも2012年第1四半期、
Vinamilkの販売単価/純売上比率は前年同期の66.72%から、
69.37%に増加している。

資金力は抜群だけど…

Vinamilkは、国内でも最大規模の資金を有する企業の一つである。
今年3月末の時点で、現金にして2.983兆VNDを保有、
その中で3ヶ月以下期限の預金は2.112兆VND、
それ以上の期限の預金は8,704.61億VNDにのぼる。
今年第1四半期の預金金利は827億VND、
国債金利も250億VNDに達している。
(前年の金利は4,669.5億VND、税引前利益は4.978兆VND)

2012年の営業計画では、
Vinamilkは引き続き生産体制の拡張を進める予定である。
2012年の計画で4.537兆VNDを支出、
2013~2016年の4年間で3.166兆VNDの投資計画がある。

業績、利回り共に良好であるというのが、Vinamilkの強みである。
しかし今後、これまでのような好調を維持できるかは不明である。
他社との競争に晒されたVinamilkが、その状況を勝ち抜けるのか、
将来図は不透明なままである。



InfoTV.net  2012年6月11日

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