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2009年04月01日

DPM 肥料工場買収に株主猛反対


先日開かれた石油肥料・化学株式会社 (DPM)の株主総会で、
大株主のベトナム石油グループ(PetroVietnam、DPMの63%を所有)から、
Ca Mau肥料工場を買収する件について、
出席者の 67.75%が合意しない結果となった。


PetroVietnam役員のNguyen Ngoc Son氏は今回の事態を、
DPM取締役会の情報提供が不十分だったため、
このような判断されることになった、と分析している。

Phu My株式会社の役員は、
Ca Mau肥料工場は、非常に魅力的な投資案件であり、
DPMに長期にわたり高い利益をもたらすだろう、としている。
Ca Mau工場案件には、以下のような優遇措置が取られている。
・機材の輸入免税
・最初5年間の原料輸入税免除
・活動開始から15年の企業収益税 10%
・納税対象となる収益が出てから4年間免税、
 及び、次の9年間 50%減税
・土地使用料の免税等

現在、この件への投資が有利な時期となっている。
2~3年後に同様の案件に投資するには、
最低15~20億ドルを出資する必要が出てくるだろう。

PetroVietnam内では、案件に投資するための会社を立ち上げ、
後にその会社を株式化すれば、
PetroVietnamが大きな利益を得られる、という声もある。
しかし、 DPMはPetroVietnamの子会社だったことから、
主な営業分野を中心に投資できるため、優先的に案件を回されたのである。
しかも、PetroVietnamは出資資金を、
そのままDPMに譲ることになっている。
DPMはこの案件を引き受けなかった場合、
PetroVietnamが引き次ぐ予定となっている。

DPM役員は、この件に関しての判断は、
株主の決定に基づく、としている。
株主総会に参加した小株主は、
Ca Mau肥料案件に余り高い評価をしなかった。
しかし実際には、DPM株主総会終了後、
各ファンド、証券会社等の各小株主の代表者が、
引き続き午後3時までこの件についての協議を行った。

協議に参加した株主にからは、
Ca Mau案件の危険性を指摘する声も聞かれた。
Jaccar投資ファンドのKhong Van Minh社長は、
2工場の生産能力は同等であるが、
Ca Mau肥料工場(年間80万トン)の投資資金9億ドルは、
Phu My肥料工場(年間74万トン)の投資資金3.9億ドルの2.4倍となっている。
「この様に投資額が張る案件は、投資家にとって魅力的ではない。
 今後、通貨価値が下落する恐れもある。」

証券会社代表は、Ca Mau肥料工場投資のためには、
DPMが11兆ドンを調達する必要がある。
これはDPMの出資金の3倍にもなるため、
今後、この件による財政悪化も懸念されている。

DPMはCa Mau肥料工場投資資金の30%しかまかなえない。
残り70%を銀行から借りることが分かっている外国投資家は、
そのリスクの高さを指摘する。
70%を銀行から借りた場合、USD金利で計算すると、
DPMは、毎年銀行に4,150億ドンの金利を、支払わなければならなくなる。

他の投資家も、Ca Mau案件のIRR指数(内部資金の返済率)、
NPV (現在の純価値)があまり魅力的ではないことを指摘している。
返済期間10.5年に対しIRRが14.06%では、
他案件への投資資金の使用経費より低い。
この件のNPVは24億8,800万ドル。

アメリカ銀行ベトナム駐在事務所、投資コンサルティング専門家は、
「9億ドル案件を判断するにあたって、
 投資家は大量の資料を要求するだろう。」と語った。

Ca Mau肥料工場の生産能力(年間80万トン)は、
Phu My肥料(74万トン)より大きい。
2工場が限界まで稼動した場合、年間154万トンの生産が可能となる。
そうなればDPMは、肥料・化学物生産分野でトップの企業となる。
しかし、DPMはそれまでに、肥料の輸出先を模索しなければならない。
2008年のDPM報告書には、
「2010年以降、国内市場では供給が需要を上回る。」と記されている。

Ca Mau肥料案件が数年後のDPMにとって、
救いの手となるか、忌まわしい不良債権と化すか。
株主総会はCa Mau肥料の投資案件を承認していない現在、
PetroVietnamが解決に向け、別の子会社を立ち上げることになるのか、
回答はまだ出ていない。



Vneconomy.net 2009年4月1日

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