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2008年12月10日

Vietinbank競売入札 主に機関投資家のみが参加か


ベトナム国営商工銀行(Vietinbank)の
株式入札の開始株価20,000ドンという情報は
多くの投資家が関心を示した。
ただ、現在の市場状況の悪化や、
投資機会の多様化などもあり、
Vietinbankの入札に参加する投資家者は
思いのほか少ない可能性がある。

個人投資家は関心を示さない

Vietinbankのような
大規模国営銀行の株価20,000ドンという値段は、
個人投資家にとって魅力的であるのか。
投資家業界の調査結果は以下の通りである。

Thang Long証券株式会社の投資家であるHung氏は
「無償発行の株式が多く売却されており、
Vietinbankの株式への投資は魅力的なチャンスとはいえない」
と述べている。

軍事銀行株式会社(MB)の株式も
現在14,000ドン~14,500ドンで取引され、
安価で流動性が高い。
上場企業のSTBが19,000ドン以下、
ACBも配当金精算後に29,000ドンに値を下げており、
VCB株式も30,000ドン~32,000ドンで
購入できる。

それと比較した場合、
個人投資家にとって、20,000ドンという株価と、
それに対する年12%の配当金はさほど魅力的ではない。
個人投資家は主に、
短期間での株売買による売買価格差で利益を上げることが多く、
配当金をターゲットにすることは少ない。
さらに、その配当金についても、
未上場株式よりも流動性が高く、
売買しやすい上場企業において
12%より高い配当金を出す株式も多い。

そのほかの分析によると、
個人投資家らは、多くても数万単位しか購入できないが、
この程度の売買単位なら
競売入札で購入しなくても
未上場市場で購入することができる。
さらに、競売入札後には
未上場市場で落札株価より安く購入できる可能性も高い。

銀行株式の「ブーム」は過ぎ去ったといえよう。
ただ、20,000ドンという株価は
個人投資家にとって買いやすい株価という意見もある。

あとは、
VietinbankのIPOの時点で
市場がどの程度「ホット」であるかが問題であろう。

機関投資家にとって投資チャンスであるか

今回のVietinbankの開始株価20,000ドンは
VietcombankのIPO開始株価と比較して
かなり異なったものとなった。
年初では、VietinbankのIPOの開始株価は
100,000ドンと想定していた。

記者のインタビューでの質問に対して
Pham Huy Hung Vietinbank代表取締役会長は
「IPOコンサルティング会社-
J.P. Morgan Securities有限会社 の試算によると、
Vietinbankの企業価値は1株当たり16,000ドンであり、
競売入札開始株価20,000ドンは合理的である。
この点については、
VietcombankのIPOより情報が明確である」
としている

しかし、あるベトナム投資ファンドの社長の見解によると、
20,000ドンという株価は、
投資家にとって魅力的であるとは言えないという。
VietinbankのIPOが予想通りに成立した場合、
開始株価で計算すると、
市場から1兆ドン以上の資金を調達できる。
この資金が過大すぎないか、
VietinbankのIPOに参加する機関投資家は
以下の点を検討しなくてはいけない。

①入札資金を調達できた投資機関しか参加しない
市場が下落している背景において、
追加に資金を調達できる可能性が0のケースも考えられ、
投資品目を拡大したいと考える投資機関はさほど多くない。

②VietcombankのIPOの余韻がまだ残っている
多くの機関投資家らは
Vietcombankの計画通りの上場や
外国戦略パートナーの情報を待っている。

③現時点でのVietinbankに関する情報が明確になっていない
Vietcombankの場合も同様であったが、
例えば、余剰資金がどのように使用されるなど、
不明な点がある。

金融投資家協会は
「多くの外国投資ファンドが
VietinbankのIPOについて関心を示し、情報を集めている。
Vietinbankは
使用権を有する土地が広い、預金調達に関する威信が高い、
精算保証等の信用性が高いなどの
基本的な強みを持っている。
特に、長期投資ファンドが
VietinbankのIPOに対して強い関心を持っている」
と考える。

実際、銀行分野は外国投資家に注目される。
ベトナム証券市場が危機的状況にあった際も、
外国投資家による銀行関連株式の売却ない。
ただ、VietcombankのIPO後、
外国投資家らは、
VietinbankのIPOに対して
余り高い関心を持っていない感じもある。
VietinbankのIPOにより
外国投資家らのベトナムの銀行に対する魅力を
計ることができるかもしれない。


労働紙 2008年12月10日


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