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2009年06月27日

ベトナムの小売業 スーパーマーケットやショップの今


昨年のA.T. Kearneyのランキング(注)において、
ベトナムは上位にランキングした。
国内小売マーケットが、
さらに魅力的なものとなった証しといえよう。
実際、ベトナム市場に参入する
国際的な小売企業も増えつつあると共に、
ベトナムと外国商社が提携して、
活動規模を拡大する計画といった発表も相次いでいる。
このような背景には、
伝統的な販売方式と現代的な販売方式との
分業・細分化が積極的に行われるという
現実が垣間見られる。


小売市場とスーパーマーケットの競争
長期にわたる発展期を経た今日、
スーパーマーケットの売上が
小売業界全体において占める割合は
決して大きくないものの、
スーパーマーケットの発展スピードは
伝統的な市場、
特に、都会の小売市場にとって
危険な敵であるといえる。

実際、スーパーマーケット各店は、
商品、サービスなどに対して力を入れ、
新鮮食品の販売も開発している。
このような販売戦略により、
スーパーマーケットの購買層は
週1回だけ買い物に行く人だけではなく、
毎日買い物に行く人にも広がりつつある。

もちろん、小売業の躍進はそれだけにとどまらず、
個人商店や百貨店なども、住宅団地ではやっている。
これらのお店は、一般的な市場の販売商品とは
別の種類の商品を販売する。
また、これらの店舗は24時間営業で、
さまざまな需要に対応できるといった特徴を持つ。

このような販売ルートは、
ベトナムの商社だけではなく、
外国の商社にも注目されており、
G7, Shop & Go, Co.op Foodなどの
さまざまなFranchise (商標譲渡)方式で
外国企業がベトナム市場に参入している

先週末の最新情報によると、
アメリカのCircle K チェーンが
ベトナムに参入した。
同社は、まず、ホーチミン市で
五つの店舗をオープンした。
さらに今後のベトナム市場の開発計画として
Franchise譲渡方式で、
2011年まで100店舗を開設する予定であるという。

このCircle Kのほか、
外国で著名なブランドも
ベトナム市場に参入する戦略を策定している。
サイゴン商業会社と
シンガポールのAsiawide Franchise Consultantsの
合弁により設立されたSATRA-AFC 会社は
ベトナムと外国のFranchise譲渡に関する
需要を明らかにしたものといえる。
このように、
市場の営業活動に対する競争は
だんだんと激化している。

商工省によると、
2009年の年初5カ月での
ベトナム国内の小売り、サービスの売上は
452兆VND以上に達し、
前年同期より21%増加した。
また、物価の上昇率を除いた、
売上が実質的な増加も約8.4%となる。

だが、購入能力が高くなる一方、
市場の販売・売上は急速に減少した。
Duong Thi Mai Lan-Ben Thanh市場管理委員長によると、
年初6カ月における
Ben Thanh市場での消費者の購入能力は
前年同期より50%~60%を減少した。
ホーチミン市にあるTan Dinh市場、Ba Chieu市場、
Thanh Da市場、Xom Chieu市場も
同様な状況にあるという。

市場の管理委員会の代表者の話によると、
近年、市場とスーパーマーケット、小売店、
ショッピングセンターとの間で
競争が激しくなっている。
これに伴い、今後、
伝統的な市場がどのように存在するかといった
問題が懸念されている。
市場に行って買い物する習慣がだんだんなくなると、
市場の存在が不要なものになるのかといった話もある。

だが、An Dong市場の管理委員は反対の意見を持つ。

数年前、An Dong Plazaショッピングセンターが
活動を開始した際、
付近のAn Dong市場の関係者は
今後の消費者の動向を非常に憂慮した。
それは、ショッピングセンターが非常に大きく、
そして奇麗なものであったからである。

だが、実際には、
An Dong PlazaとAn Dong市場の購買層、
つまり、ターゲットは異なるものだ。
An Dong Plazaの顧客は若者が中心であるが、
古いAn Dong市場は、
従来の顧客を囲い込むことができる。
また、市場で販売されている商品は
中古・修理がたくさんあり、
商品の質により販売価格が異なる。
さらに、価格交渉も可能なため、
都心に住む非裕福層は頻繁に市場を利用する。

スーパーマーケットとチェーン店とで
小売販売市場のシェアの20%を占めているが、
今後、だんだんと発展する傾向にある。
ここで生じる大きな問題として、
人民の生活にとって親密なもので、
文化や消費習慣に深く浸透し、
外国人観光客にとって「独特な生活文化」を感じさせる
長い間において幅広く深く発展された伝統的な市場が
侵食されるのではないかということである
ホーチミン市商工局の統計によると、
約200ある伝統的な市場には、
数十万人の販売者とその生活が関わっている。
そして、その販売成績が
小売販売分野で大きな割合を占めていると共に
その関係者の生活を支えているのである。

一方、伝統的な市場が
古い歴史を持ちながら販売ネットワークにおいて
重要な役割を担っているが、
市場自体の管理や調査は十分に行われていない。
消費者が伝統的な市場で買い物しなくなる理由は
そのような市場が不要なのではなく、
商品の質や展示の方法、サービスや技能が低い、
店舗が暗くて暑い、あまり衛生的でないという点にもある。

このように、伝統的な市場を整備するといった考えは、
重要性が高まっている。
これは、経済面においてだけでなく、
文化、社会、販売従事者の健康や安全の確保といった
よのり多くの問題が含まれる。
最近、いくつかの市場が、
販売活動の改善に対して力を入れた。
An Dong市場はISO基準で管理されるようになり、
不適切な価格で販売されないといった事案も減少し、
顧客に対するサービスも向上した。

また、政府関係機関の管理に関しても、
最近、ホーチミン市が、
各市場の販売者を対象に
研修プログラムを実施した。
この研修プログラムは6カ月間にわたり行われ、
主催機関として商工局、内務局、婦人連盟、
商業推進センターが名を連ねている。
この研修では、販売者に対して
サービスの提供方法、商品の展示技術、
価格の掲載、アフタケアーサービスといった
販売手法全般について講義する。

「高級店(Shop)」の普及
都心住民の生活がだんだんと向上すると共に、
消費者の嗜好も大きく変化する。
消費者、特に大都会の消費者は、
だんだんと良いものしか買わなくなる。
ただ、ショッピングセンターの建設計画は
手続きが複雑な上に投資資金も大きく
直ちに実施できる類のものではない。

また、すでに稼働しているショッピングセンターだけでは
より高くなる消費者の需要に対応できないため、
多くのブランドがストリートで
「お店(Shop)」をオープンしている。
そのため、店舗の賃借料も徐々に高くなっているという。
こうして、街中もだんだんと華やかに、
そして現代化されているが、
その中心は、服、靴、アクセサリーといったファッションや
電気製品、薬などの「お店(Shop)」の
進出によるものである。

2008年の国際経済危機の影響により、
多くの企業が活動規模を縮小したが、
純外資の販売会社に対する
市場開放の時期も近づいている。
これらより、経済衰退による
景気の悪化といった状況とは裏腹に
各ブランド間では、
よりよい立地の店舗を確保するといった
競争が高まっている。
特に、ファッションや化粧品といった
ブランドにおいて競争が激しい。

2008年第4四半期より、Vietファッション会社は
Dong Khoi通、Nguyen Trai通、Hai Ba Trung通などの
有名なファッション・ストリートで
10店舗以上をオープンし、
同社のチェーン店は80店舗以上になった。
また、Vissan, Agrex Sai Gon、Tram Anh茶などの
食品分野で有名なブランドも
Franchiseキャンペーンを促進している。

Tran Thanh Sang-Vietファッション会社の社長によると、
ショッピングセンター形式と比べて
市中の店舗は場所の使用料金が低く、
また、顧客が気軽に立ち寄れるというメリットもあるという。
つまり、ベトナムの消費者は
まだ、高級なショッピングセンターで
買い物をすること自体にあまり慣れていないのである。

また、現代なショッピングセンターでは
提供される小売スペースが狭く、
使用料金も高いため、
チェーン店(Shop by Shop)の販売方式が
各都市で発展する余地が今後もあるとみられる。

ただ、外国商社の観点からみた場合、
Tjeert Kwant-オランダのECC小売会社社長は
ベトナムの店舗の装飾はシンプルで、
店舗の内装や看板も単純であると指摘する
そのほか、商品の展示方式や販売手法は
まだプロのレベルといいいがたく、
ブランドのPRも十分ではないとしている。
そのため、店員に対するトレーニングを
十分に行わないと、
海外ブランドのショップと競争できないと指摘している。

注)30カ国における小売市場の魅力に対する調査結果によると、
ベトナムは昨年の1位から6位にランクダウンした。
ただ、投資家にとっては、
ベトナムの小売市場のまだ魅力的なものである。
また、市場の需給バランスにおいても、
マーケット(小売店舗)オープンに期待する声が大きい。



サイゴンエコノミックスタイムズ 2009年6月26日

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