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2009年09月10日

国営企業民営化:国は損するのか?得するのは誰?


証券市場はこの2カ月で
熱気を帯びつつあるものの、
国営企業の民営化は遅々として進まない。


Pham Viet Muon-
中央企業改善開発委員会副委員長によると、
現在、国営企業の親会社に関して
民営化が終了した案件はまだない。
また、国営公社数社が民営化されたが、
汚職事件も表面化している。

民営化で汚職が表面化した企業として
ベトナム輸出入・建設公社(Vinaconex)が
その規模が最も大きく、
国家の資産が大きな損失を被った。

つい最近、政府事務局はVinaconexに対し
9,000億VNDの回収を通告した。
そのうち8,100億VNDがIPOの余剰金、
730億VNDが民営化まで間の企業価値が
高く確定されたことによる余剰金で、
土地の使用権などが含まれる。

ただ、政府監査官は
1,415兆VND以上回収することを要請し、
Vinaconexの民営化時の
資産および土地使用権価値も
まだ計算されていない。

昨年末、国会財政・政策委員会により
「国営企業の民営化の時に土地の処理、
株式売買に関する政策、規定の実施状況」が実施され
その監査結果によると、
国家資産である土地や各種財産が
民営化を通じて各機関や個人資産に移転された。

例えば、Ngoc Lam旅行株式会社(Lam Dong省)は
条件の良い立地に敷地面積2,292平米の
ホテルを運営するが、
民営化時の企業価値は
35億USDにしか確定されていない。
また、民営化後、
同社株式の国の保有分30%か
すべて売却された。

ハノイ市、ホーチミン市など都市部で
特色ある立地を有する
Phu Giaホテル、レストランも
民営化の状況は同様である。
典型的な例では、
Mien Dongバス停有限会社は
その企業価値が600億VNDと確定されたが、
その後、議定No. 109/NĐ-CPに基づき
再計算すると、
企業価値は1,121兆VNDと、
当初の価値より31.4倍も高い。

Vinaconex、Ngoc Lam観光会社の
ケースのような形での
国家資産損失を防止するため、
つい最近、Nguyen Sinh Hung副首相は
ハノイ市、ホーチミン市で
土地使用権の価値が高い国営企業に対して
民営化計画を政府に報告することを求めた。

また、土地だけではなく、
大都会での国営企業の民営化は
工場、施設、鉱山・資源、商標などの
周辺資産の価値をすべて計算しない、
もしくは市場より低く計算するケースが多く、
国営企業が安価で民間に譲渡される。

ベトナム石炭・鉱山グループ(TKV)の
子会社の民営化について、
国家会計検査の最新調査の結論によると、
民営化された47社のうち
土地使用権、鉱山開拓権、付加価値の高い鉱山、
石炭鉱山開拓権などについて
その価値がいまだ正確に計算されなかった。
具体的には、自動車工業株式会社は
運動場や幼稚園建設のために
9,942平米の土地を供給されたが、
民営化時に、これらの土地の使用権が
価値として計算されていなかった。
また、機材製造株式会社は
現在、250,619平米の土地を管理しているが、
民営化時にこれらの土地使用権の価値が
計算されていなかった。

さらに、Vang Danh石炭会社は民営化時に
使用しない、もしくは必要の財産が
企業価値として計算されておらず、
現在、これら44億VNDの財産が
整理されていない。

規定によると、
国営経済グループ、国営公社は
民営化の余剰金を使って
子会社に投資することができる。
これにより得られた配当金は
国営企業の財政的収益と見なされ、
企業収益28%しか納入する必要ない。
国会財政・予算委員会の意見によると、
このような規定は修正するべきで、
配当金は国による投資の利益であり、
国家予算に納入する必要であるとしている。

さらに同委員会は
「企業が保持できる余剰金が大きすぎ、
有効に利用されていない」と評価した。
例えば、ベトナム電力グループは
資産の販売、国有株式の売却により
7兆VND以上を回収した。
そして、政府の許可を得た後、
ベトナム電力会社は5.913兆VNDを投資、
2006年に6750億VND、
2007年に6530億VNDの配当を得ており
これらの配当は親会社の利益の50%を占める。

商工省の担当者によると、
2010年まで国営企業セクターは
すべて民営化を完了し、
企業法に基づいて活動をする必要があるものの、
国会で議決された期日まであまり時間はない。

ただ、現時点まで
国営企業セクターの民営化のスピードは遅く、
上記の国会議決を実現できない可能性が高い。
また、国会財政・予算委員会によると、
2010年までに民営化を完了しない会社は
最低700社と見込まれる。

国営企業の民営化促進は必要であるが、
民営化時の監査や検査、
企業価値の計算に関する取り組みを
適切に厳密にしないと、
国の資産や土地、資源が大量に損失を被る。
ただ、現時点において
この重大な問題を解決する策は
まだ見出されていない。



サイゴンマーケティング紙 2009年9月9日

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