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2011年09月16日

ベトナムの企業に倒産が少ないワケ


倒産は企業にとって最悪の状況である。しかし、倒産したくても出来ないのが
ベトナム企業の実情である。


有名なCotec Starは2009年末に「倒産」を申請したが、株主に何も知らせなかった。
この会社は解体又は倒産後の株主の権利について何も発表していないが、職員は
7億VNDに相当する株式を保有する。Cotec Starは2009年に10億VNDの赤字、
2010年には28億VNDの赤字となったが、株主に何の報告もしていなかった。

これ以外で証券市場に大きな影響を与えているのがDVD(Vien Dong薬品株式会社)の
倒産案件である。DVDは薬品分野で発展する可能性があると評価されており、支配人は
様々な方法でDVDの株価に干渉した。DVDの営業活動は非常に悪化しており、借金は
9,000億VNDを超えている。資金を貸し出しているANZ銀行がDVDに倒産手続きの実行を
要求し、その時点がDVDの正式な倒産となる。年初から外国投資家が恐れてDVD株式を
大量に売り出しており、それらの買い手がベトナム投資家であった。

1ヶ月で2つの会社が2種類のパターンで倒産した。ベトナムの企業は「倒産」の言葉を
恐れているため、財政状況が悪化しても中々「倒産」の言葉を言い出せない。

多岐にわたる懸念の理由

Nguyen Huu Phuoc弁護士は数社に倒産の手続きをコンサルティングした経験を持つが、
多くの場合が倒産する代わりに企業を閉鎖する方法を選んだ。理由は倒産の手続きが
複雑で膨大な時間がかかりそうだからである。

2004年に倒産法が誕生し、裁判所は書類受理の日から30日以内で倒産を決定する。
だが、書類が裁判官の手元に来た時点で残された時間は二十日間しかなく、書類審査には
全く足りない。

今年の半ばに倒産を発表したWonderBuyは未だに手続きが完了に至っていない。
この電化製品販売専門会社は520億VNDの赤字となった後に倒産を申請した。

WonderBuyは2011年5月に倒産申請書を提出したが、書類不備という理由で裁判所から
判決がまだ得れらていない。

手続きの複雑化がオーナーに企業を倒産させにくくしている。特に、財産を分けなくては
ならない場合などである。ベトナムの倒産法における企業の財産は社員の給与と手当、
税金、貸主、企業、国家予算の順番に支払われる。企業のオーナーと株主に対して財産が
分けられるのは最後である。アメリカでは企業のオーナーが一部の株式しか所有しないが、
ベトナムではオーナーが大半の株式を持っているので、倒産の場合は大きな損失を被る。

このためにベトナム倒産法が20年前に発行されたが、倒産申請企業の割合が少な過ぎ、
企業の財政状況を正しく反映していない。企業が手続きを積極的に行わず、出来るだけ
借金して延命を図ろうとするのだ。

サイゴンエコノミックスタイムズ  2011年9月15日

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